最新記事
ワグネル

ワグネル創設者「ロシア国家は国民を守れない」

Russian State Cannot Protect the Country, Prigozhin Suggests

2023年5月10日(水)18時05分
ブレンダン・コール

ワグネルの創設者プリゴジン VIA TELEGRAM

<「弾薬がない!」と激怒していた顔からは一転、悟ったような穏やかさでロシアの終わり?を示唆するプリゴジン>

ロシアがナチス・ドイツに勝利を収めた戦勝記念日の5月9日、ロシア民間軍事会社ワグネルのトップ、エフゲニー・プリゴジンは、ロシア政府とロシア軍幹部は祖国を守れないと厳しく糾弾した。

プリゴジンはこの発言を自身のテレグラム・チャンネルでおこなったが、その前から「戦勝記念日の祝賀パレードが終わったら自身の見解を明らかにする」とほのめかしていた。

プリゴジンはこれまで、ウクライナでの戦争遂行に関してロシア軍の司令部をたびたび批判。東部の激戦地バフムトで戦うための弾薬を提供しないロシア国防省をも激しく非難、バフムトからの撤退もほのめかしていた。

ワグネルの部隊は結局バフムトに留まるとプリゴジンは述べた。部隊が持ち場を離れれば、それは「反逆」と見なされると言われたという。弾薬が足りなくて撤退する場合、反逆者はどっちだとプリゴジンは言う。必要な弾薬はすべて与えるとも言われたが、「それはワグネルに去られては困るからで、感情的な話だ」と冷めている。

ワグネルの部隊が撤退すれば、「ウクライナ軍は、ロストフ(ウクライナとの国境に面したロシアの州)に達するだろう」とプリゴジンは述べる。

ウクライナの反攻は近い

また「ロシア軍の一部隊が持ち場を放棄して脱走」し、前線に2キロにわたる穴を開けたという。「前線が崩壊しないようにするため、あらゆる手を尽くしているところだ」とプリゴジンは述べた。

また、ロシア西部のベルゴロド州に対して、ウクライナ軍によるものとされる越境攻撃(ウクライナは否定)が増えていることに触れ、当地の住民は「パニックにはなっていないが、おおいに心配している。なぜ政府は自国民を守れないのか?」と言った。

プリゴジンによれば、ウクライナ軍はバフムト防衛線の側面を突き、ザポリージャで再結集し、まもなく「反攻を始める」という。そんなときにロシア軍兵士が塹壕から逃げ出すのは司令官の責任だとし、「兵士は、リーダーの愚かさのせいで死ぬべきではない」。

「各地の部隊指導者たちは、上からくる犯罪的に愚かな命令に従わされている」と言う。「ロシアの破壊、祖国への裏切りともいうべき犯罪だ」

(翻訳:ガリレオ)

キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独総合PMI、10月53.8で2年半ぶり高水準 サ

ワールド

アングル:米FRBの誘導目標金利切り替え案、好意的

ビジネス

長期・超長期債中心に円債積み増し、ヘッジ外債横ばい

ビジネス

英小売売上高、9月は前月比+0.5% 予想外のプラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 2
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼稚園をロシアが攻撃 「惨劇の様子」を捉えた映像が話題に
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 8
    【ムカつく、落ち込む】感情に振り回されず、気楽に…
  • 9
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 10
    「石炭の時代は終わった」南アジア4カ国で進む、知ら…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    「ママ、ママ...」泣き叫ぶ子供たち、ウクライナの幼…
  • 10
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中