最新記事
ウクライナ戦争

塹壕に手榴弾...11分間の劇的映像が捉えた、ウクライナとロシアのバフムート近郊での接近戦

Ukrainian soldier fends off Russian attack in incredible 11 minute video

2023年4月30日(日)14時38分
ブレンダン・コール
ウクライナ軍

バフムート近郊の前線でのウクライナ兵(本記事のビデオに登場する部隊とは別の部隊、2023年4月23日) Sofiia Gatilova-REUTERS

<「オークが塹壕の中に飛び込んできた」ヘルメットのカメラで撮影されたとみられるビデオが公開された>

ロシア兵との接近戦を繰り広げるウクライナ兵らの様子を捉えたとみられる劇的な映像が公開された。

映像はウクライナ軍の傘下にある義勇兵大隊「ダビンチの狼」の勇敢な戦いを撮影したものとみられ、長さは11分。

【動画】ウクライナ兵とロシア兵の接近戦を捉えた11分間のビデオ

冒頭には「ウクライナの『命の道』、バフムート(ウクライナ東部の要衝)の外に続く最後の道を守る」という説明が添えられている。この「命の道」とは、東部ドネツク州のバフムートに近いチャシブヤールに続く、ウクライナ軍にとって重要な補給路のことだ。

銃声が鳴り響き、離れた場所では煙が立ち上るなか、1人の兵士が塹壕に入っていく。この部分の映像は兵士のヘルメットに装着されたカメラで撮影されたものだ。彼は塹壕の中で待機しているほかの兵士たちに「どうした?」と声をかける。

カメラを回しているのは、おそらくこの分隊のリーダー。「ティヒー」というコードネームのこの分隊長は、仲間の1人が死亡したことを告げられる。分隊長が「安らかに眠れ」と言うと、仲間たちが返す。「そうだよ兄弟。戦争はこういうものなんだ」

その後、すぐ近くで手榴弾が爆発し、レカと呼ばれる兵士が吹き飛ばされてうつ伏せに倒れる。レカは自分は負傷していないと仲間に告げ、隊員たちは塹壕の外に出て反撃態勢を取る。

「オークは全員殺した。外で位置につけ」

映像が切り替わると、誰かが叫ぶ声が聞こえる。

「オークが塹壕の中に飛び込んできた!」(編集部注:ティヒーらがいる塹壕とは別の、近くにある塹壕からの無線)

オークとは『ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)』に出てくる怪物を意味する言葉で、ロシア兵を指す。映像にはその後、ウクライナ兵たちが飛び出し、敵に向かって発砲する様子が映っている。

兵士たちはほとんど援護がないなかで、進軍してくるロシア兵に反撃。塹壕の近くで反撃態勢を取り、敵を倒していく。「オークは全員殺した。(塹壕の)外で位置につけ」という声が聞こえる。

複数の地点で砲弾が爆発する。1人のロシア兵が塹壕に向かって手榴弾を投げ、それを受けて複数のウクライナ兵が発砲。ほかのロシア兵たちは、這うようにして逃げていく。1人のロシア兵が負傷したらしく、地面を転げまわる様子が映っている。

この映像がいつ撮影されたものかは不明だが、4月30日の時点でYouTubeで87万回視聴されており、見た人々からは、分隊長を称賛する声が寄せられている。

あるユーザーは映像のコメント欄に、「彼は即座に反応して動いている。その攻撃が敵の最初の突進を退け、彼はその後、仲間の兵士たちに適切な防御措置を取らせている」と書き込んだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中