最新記事

国際政治

ウクライナ戦争を二元論で語る「自由世界」にいる、自由ではない人々

WHO IS PART OF THE FREE WORLD?

2023年2月6日(月)09時44分
アンマリー・スローター(元米国務省政策企画本部長)

センの母国であるインドは、ウクライナ戦争でロシアとNATOのどちらにつくことも拒否してきた。クアッド(日米豪印戦略対話)を通じて日米豪に近づきつつも、ロシアからの石油輸入を増やし、今やインドにとってロシアは最大の石油輸入元国だ。

インドのジャイシャンカル外相が駐米大使だった頃、インドは「東か西のどちらかを選択しなければならない」という問いに「われわれは既に選択したのだ。インドという選択を」という答えを返してきたと、ペトレアス元米軍司令官は語っている。

ジャイシャンカルから見れば、ウクライナ戦争はさらに多くの国々が「自国」を選択する契機になるかもしれない。彼は、ウクライナ戦争は「西側に偏った」今の世界秩序を変革すると予測する。

現状では「ヨーロッパの問題は世界の問題、一方で世界の問題がすなわちヨーロッパの問題とはならない」。それが、各国が自国の「優先事項と国益」を自由に追求できる「多極的な同盟」世界に変わっていくというのだ。

昨年4月、国連総会でロシアの人権理事会の理事国としての資格停止に賛成票を投じなかった国はインドだけではない。こうした国々は、西側の対ロシア制裁は食糧と燃料価格の高騰を招き自国に深刻な危機をもたらしているとして、ロシアのウクライナ侵攻と同じくらい批判している。

今年の一般教書演説でバイデンが真の「世界」に向けて語りかけたいなら、従来の「自由世界」の定義を捨て、多様な自由を内包した世界を想定すべきだろう。


230207p15NW_Slaughter_01.jpg
ANNE-MARIE SLAUGHTER
国際政治学者、シンクタンク「ニュー・アメリカ」CEO。米プリンストン大学名誉教授。著書『仕事と家庭は両立できない?』は全米で論争を呼び起こした。

©Project Syndicate

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、ロシアの攻撃で5人死亡 モルドバの送電

ワールド

ロシア、カスピ海へのイラン紛争波及を警戒=大統領府

ワールド

欧米の関係断絶、ウクライナ侵攻に匹敵 元に戻らず=

ビジネス

ユーロ圏総合PMI、3月速報は成長停滞 中東紛争で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」モナコ舞踏会に見る富と慈善
  • 3
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」した──イスラエル首相
  • 4
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 5
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 6
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に…
  • 7
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 8
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 9
    「買ったら高いじゃん?」アカデミー賞会場のゴミ箱…
  • 10
    イラン戦争、トランプを泥沼に引きずり込む「5つの罠…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中