最新記事

南米

ブラジル、ボルソナロ前大統領支持者が大統領府や議会を襲撃

2023年1月9日(月)11時47分
大統領府を襲撃するボルソナロ前大統領の支持者ら

ブラジルの右派ボルソナロ前大統領の支持者らが8日、首都ブラジリアで議会や大統領府、最高裁判所を襲撃した。写真は1月8日。大統領府内で撮影(2023年 ロイター/Adriano Machado)

ブラジルの右派ボルソナロ前大統領の支持者らが8日、首都ブラジリアで議会や大統領府、最高裁判所を襲撃した。

サンパウロ州を訪問中で不在だった左派のルラ大統領は、今月末まで連邦当局がブラジリアの治安に介入すると発表した。

年明けに就任したばかりのルラ氏は記者会見でボルソナロ氏を非難するとともに、「ファシスト」や「狂信者」による混乱を許したとして首都の警備体制の不備を批判。襲撃を行った人を特定して罰すると強調した。

昨年10月の大統領選での敗北を正式に認めていないボルソナロ氏は、ブラジルの電子投票制度では不正が起きやすいなどと誤った主張を展開し、支持者らの間で選挙結果を否定する動きが出ていた。

ルラ氏は、ボルソナロ氏がフロリダ州から「ソーシャルメディアでけしかけている」と主張した。

襲撃から6時間近く沈黙を保っていたボルソナロ氏は、ルラ氏の主張を「否定する」とツイッターに投稿。平和的なデモは民主主義の一部だが、公共の建物に侵入して損害を与えることは「一線を越えている」とも述べた。同氏は先月末、自身の任期が終了する48時間前に米フロリダ州に向かい、今月1日のルラ氏の就任式を欠席していた。

テレビの映像では、デモ隊が最高裁や議会に侵入し、スローガンを叫んだり家具を壊したりする様子が映し出された。地元メディアによると、襲撃には約3000人が加わったとみられる。

グロボニュースは、襲撃が最初に報じられた約3時間後の現地時間午後6時30分ごろ、治安部隊が議会と大統領府、最高裁を奪還したと報じた。

襲撃のニュースを受けて各国首脳から非難の声が上がっている。バイデン米大統領はブラジルの状況は「言語道断」と述べた。ブリンケン米国務長官は、ルラ大統領とブラジルの機関を全面的に支持すると表明した。

米国では2年前にトランプ前大統領の支持者らによる連邦議会襲撃事件が起きている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米関税引き上げ、中国が強い不満表明 「断固とした措

ビジネス

アリババ、1─3月期は売上高が予想上回る 利益は大

ビジネス

米USTR、対中関税引き上げ勧告 「不公正」慣行に

ワールド

バイデン大統領、対中関税を大幅引き上げ EVや半導
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 5

    年金だけに頼ると貧困ライン未満の生活に...進む少子…

  • 6

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 7

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    「人の臓器を揚げて食らう」人肉食受刑者らによる最…

  • 10

    ブラッドレー歩兵戦闘車、ロシアT80戦車を撃ち抜く「…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 4

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中