最新記事

韓国

韓国「国防白書」、北朝鮮を6年ぶりに「敵」と表記、現地の反応は?

2022年12月14日(水)19時03分
佐々木和義

国防白書、6年ぶりに北朝鮮を「敵」と表記

日米韓3か国は連携を強化する方針だ。22年11月13日、ASEAN関連首脳会議に出席するため、カンボジア・プノンペンを訪れた岸田文雄首相とバイデン米大統領、尹錫悦韓国大統領は首脳会合を行なって、北朝鮮のミサイル情報の即時共有を盛り込んだ共同声明を発表した。日米韓は情報共有協定(TISA)を締結しており、日米、日韓、米韓はそれぞれ軍事情報保活保護協定GSOMIAを締結するが、TISAは日韓が米国を介して情報を共有、GSOMIAは要請を受けて情報をやり取りする協定で、即時共有には繋がらない。

北朝鮮のミサイル発射情報は地理的に近い韓国が初期情報を正確に探知できる可能性が高く、韓国内には情報を日本に与えても得られるものは多くないという主張があるが、韓国国防部のムン・ホンシク副報道官は日本海に落下する中長距離ミサイルは日本が精密に探知できる可能性が高く、「(ミサイルの)初期情報はわれわれが優位だが、他方では日本にも強みがある」と説明した。

尹錫悦(ユン・ソギョル)政権は国家情報院の人事の刷新を進めている。国家情報院の主な業務はスパイ捜査や工作活動といった対北朝鮮の諜報活動だが、文在寅前政権下で北朝鮮との関係改善を推進する組織に変貌していた。尹政権は文政権が起用した上級職員100人余りを窓際に追いやって、生え抜き職員を昇格させた。

また、尹政権は国防白書で北朝鮮を「敵」とみなす表記を6年ぶりに復活させた。米国もトランプ前政権は在韓米軍の縮小を示唆したが、バイデン政権は2万8500人の兵力を維持する方針だ。

日本企業は韓国駐在員に脱出マニュアルの再点検を指示

一部の日本企業が、韓国駐在員に脱出マニュアルの再点検を指示したという。多くの在韓日系企業が北朝鮮のミサイル発射が頻発した2016年から17年に脱出マニュアルを見直した。17年には在韓米国大使館が在韓米国人の避難訓練を実施し、韓国の財閥企業のオーナー家族が相次いで海外に脱出、在韓日本大使館と外務省は在韓邦人の緊急連絡網を整備して訓練を開始するなど、在韓日本人が顔を合わせるたびに脱出時期と方法が話題になった。

しかし、今年は違っている。韓国人はもとより在韓日本人も相次ぐミサイルに反応することはなく話題に出ることもほとんどない。在韓日本人は、日本の本社と現地の温度差を感じている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国国防相、「弱肉強食」による分断回避へ世界的な結

ビジネス

首都圏マンション、8月発売戸数78%増 価格2カ月

ワールド

米FRBのSRF、今月末に市場安定の役割果たせるか

ワールド

米政権、政治暴力やヘイトスピーチ規制の大統領令準備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中