最新記事

ウクライナ

戦局を変えた13の出来事 写真と動画で振り返る、ウクライナ侵攻300日の攻防【保存版】

Ukraine War: 30 Moments That Shaped the First 300 Days

2022年12月21日(水)19時48分
デービッド・ブレナン

9月21日:ロシアの動員令

プーチンは9月21日、「部分動員」令を発動した。崩壊しつつあるロシア軍の前線の穴を埋めるため、また冬の間、ひどい損害を被った侵攻部隊を補強するために、新たに数十万人の兵力が必要になった。プーチンの発表では、招集される兵士は約30万人となっているが、ロシア内外からの報道では、実際の動員数はもっと多いのではないかと言われている。

まもなく動員令が出されるという噂を聞いて、多くの人がロシアから脱出している。この時期に約37万人が国外に逃れたと見られている。

9月30日 さらなる併合

動員令の数日後、ロシアが一部を占領するウクライナのヘルソン、ザポリージヤ、ドネツク、ルハンスクの4つの州で、ロシア主導の住民投票が始まった。ロシア政府は住民の間でロシア連邦の一部となることが圧倒的に支持されていると主張。9月30日これらの地域を併合したと発表した。

10月8日:クリミアの屈辱

10月にロシアとロシアが占領したクリミア半島を隔てるケルチ海峡のクリミア橋が爆発によって損壊した。この橋は、2014年のロシアによるクリミア併合の象徴だが、トラック爆弾と疑われる爆発物によって重要な物流ルートが一時的に閉鎖された。これはロシア政府にとってさらなる大きな屈辱だった。この攻撃は、2月24日に戦闘が始まって以来、ロシア支配地域内のウクライナ側の攻撃で最も有名になった。

10月10日:ライフラインにミサイル攻撃

ウクライナ軍がロシアが占領する北東部の奥深くまで進撃すると、ロシアはウクライナのインフラ網に対する新たな大規模ミサイル攻撃を開始した。ロシア政府は冬の到来にあわせてウクライナ国内のエネルギー網を破壊し、ウクライナを交渉のテーブルにつかせようとした。12月中旬の時点で、ウクライナのエネルギーインフラの約半分は破壊され、ロシアはミサイル作戦を継続している。

11月11日 ヘルソン解放

ウクライナ軍は11月11日、南部の都市ヘルソンに入城した。今回ロシアの侵攻部隊が占拠したウクライナ最大の都市であり、かねてから反攻作戦の目標でもあった。その解放は、ドニエプル川の西側からロシア軍を一掃した秋の南部攻撃作戦のクライマックスといえる。

12月15日:パトリオット配備の意味

CNNは12月15日、米国防総省がウクライナに地対空ミサイルシステム「パトリオット」1基を供与する方向で最終調整に入ったと報じた。ロシアによる巡航ミサイル攻撃に対抗するために、欧米はウクライナの防空支援を強化している。そして、先進的なパトリオットシステムの供与は、アメリカによるウクライナ支援を新たな段階に引き上げるものだ。

ウクライナ政府は包括的な対空防衛システムの確立をめざしているが、パトリオットの配備はその最初の一歩となるかもしれない。

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:マムダニ氏、ニューヨーク市民の心をつかん

ワールド

北朝鮮が「さらなる攻撃的行動」警告、米韓安保協議受

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中