最新記事

銃乱射事件

世界には銃乱射後数日で武器使用を禁止できた国もあった

How New Zealand's Political System Restricted Guns Days After Mass Shooting

2022年6月2日(木)18時02分
ゾーエ・ストロズースキ

訪米してバイデン大統領と会談したニュージーランドのアーダーン首相(5月31日) Leah Millis-REUTERS

<訪米してバイデンと会談したニュージーランドのアーダーン首相には、銃規制成功の秘訣について記者たちから質問が飛んだ>

テキサス州の小学校で19人の児童と2人の教師が死亡した銃乱射事件から1週間。アメリカでは銃規制で銃乱射事件が防げるかどうかをめぐって、民主・共和両党の議員の意見が大きく分かれたままだ。

だがニュージーランドでは、2019年の銃乱射事件で死者50人と多数の負傷者が出た後、わずか数日で銃規制が実施された。

5月31日にホワイトハウスでジョー・バイデン大統領と会談したニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、半自動銃の大半を禁止することに成功した自国の取り組みについて語り、両国の政治体制は「非常に異なる」と指摘した。

テキサス州ユバルデ市のロブ小学校で起きた銃乱射事件は、全米に深い悲しみと激しい怒りを引き起こし、アメリカと他の国々を比較するきっかけにもなった。

バイデンは、テキサスで銃乱射事件が起きた5月23日に「このような銃乱射事件は世界のどこでもめったに起こらないという思いに打たれた」と言った。

「精神的な問題を抱えた人は他の国にもいる」と、バイデンは語った。「家庭に問題のある人たちもいる。自分を見失った人たちもいる。だが、アメリカほど頻繁に、銃による大量殺人が起きる国はない」

迅速な対応と規制

31日にホワイトハウスの外で記者会見をしたアーダーンは、2019年にニュージーランドの2つのモスクで銃撃事件が起きた後、国民は 「何が問題かわかったなら、それを解決することを期待していた」と語った。

「両国の政治システムが非常に異なることが前提だが」と、彼女は言った。「私たちは問題を解決することができた。国会議員の満場一致の支持を得て、半自動小銃、軍用小銃、アサルトライフルを禁止できた」(実際は119対1だった)。

ニュージーランドの国民も「それを何より期待していた」と、アーダーンは付け加えた。

ニューヨーク・タイムズによれば、アーダーンはテロ事件の数日後に武器の一時的な使用禁止を発表し、数週間のうちに議会の支持を得て武器使用の禁止を恒久化させる法案を成立させた。

当時の演説でアーダーンは、「議会がこのように団結するのを見たことはほとんどなく、今ほどそれが必要な状況は想像できない」と称賛した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾の頼次期総統、20日の就任式で中国との「現状維

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部で攻勢強化 米大統領補佐官が

ワールド

アングル:トランプ氏陣営、本選敗北に備え「異議申し

ビジネス

日本製鉄副会長が来週訪米、USスチール買収で働きか
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバいのか!?

  • 3

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイジェリアの少年」...経験した偏見と苦難、そして現在の夢

  • 4

    「まるでロイヤルツアー」...メーガン妃とヘンリー王…

  • 5

    時速160キロで走行...制御失ったテスラが宙を舞い、4…

  • 6

    チャールズ英国王、自身の「不気味」な肖像画を見た…

  • 7

    日本とはどこが違う? 韓国ドラマのオリジナルサウン…

  • 8

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 9

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 10

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 1

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中