最新記事

ウクライナ侵攻

ロシアはウクライナを南北朝鮮のような分断支配に持ち込むつもり

Putin Plans to Split Ukraine in Two a la Koreas: Ukraine Intel Chief

2022年3月28日(月)16時11分
ナタリー・コラロッシ

ウクライナ東部の親露派2州を一方的に独立承認したプーチンに抗議するデモ(2月22日、キエフのロシア大使館前) Umit Bektas-REUTERS

<キエフ陥落と親露派政権樹立に失敗したロシアは、「朝鮮半島型」のウクライナ支配に狙いを定めた?>

ウクライナ国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長は27日、ロシアはウクライナを2つに分け、第2次大戦後の朝鮮半島のような東西陣営による分断支配に持ち込むつもりだろうと述べた。

ロイター通信によると、「ロシアはウクライナに北朝鮮と韓国を作ろうとしている」とブダノフは主張、そのような事態を防ぐためにウクライナ軍はロシア軍を激しく押し返すだろうと付け加えた。

「もう少しすれば暖かくなり、全ウクライナが反攻に打って出る季節が始まる。そうなれば、ロシア側に残された現実的なシナリオは、いかにして生き残るかという一点になる」とも語った。

ロイター通信によると、同日、親ロシア勢力が実効支配するドンバス地方では、ウクライナからの独立を一方的に宣言した反政府組織ルハンスク人民共和国の指導者が、ロシアへの編入について近く住民投票を実施する可能性があると述べた。ドンバスはウクライナ東部のルハンスク州とドネツク州からなる地域で、ロシアの支援を受ける分離主義者が支配している。

東部地域を「解放」

一方、ロシア軍の最高司令官は、25日、ロシア軍の戦いの焦点をウクライナ東部の「解放」に移すと述べた。ウクライナ侵攻から一カ月、当初の目標だったキエフ陥落に失敗したためではないかとみられている。

ロシア参謀本部の作戦本部長セルゲイ・ルドスコイ将軍は、「ロシア軍の兵力は、ドンバス地方の完全な解放に集中するだろう」と述べた。

米国防総省のある高官は26日、ABCニュースに対してロシア軍の計画が変わったことを確認。ロシアはウクライナ東部で戦績をあげることを「停戦交渉の場で少しでも優位に立つための戦術」とみており、同地域からウクライナ軍を排除しようとしているのではないかと述べた。

ウクライナ東部では、長い間、激しい戦いが繰り広げられてきた。2014年にロシアがクリミアを併合した後、ロシアに忠誠を誓う反政府勢力がドネツク州とルハンスク州の庁舎を占拠し、この地域を自分たちのものとするための戦いを開始した。以来、この地域では1万3000人以上が戦闘で死亡している。

ルドスコイによると、現在、ロシアの支援を受けた分離主義者はルハンスク州の93%、ドネツク州の54%を支配している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:4月CPI、利下げに向け物価情勢好転待つ

ワールド

米、ウクライナ防衛事業基金に20億ドル ロシア領内

ワールド

米、今秋に中国製「つながる車」規制案 商務長官「安

ワールド

ロ中など米選挙介入の動き活発化、情報機関が見解 A
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中