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岸田総裁誕生に対する中国の反応──3Aを分析

2021年10月1日(金)12時02分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

7.対中強硬策など、実際には強化しないので、心配には及ばない。

共産党系地方メディアが「岸田の後ろには3Aがいる」と指摘

9月29日付の中国共産党上海市委員会直属の上海報行集団傘下にある新聞「新民晩報」は<岸田文雄が日本の政権を掌握する:安倍の"門下生"はどのようにして"天衣無縫"になれるのか?>という見出しで、岸田氏の背後には「3A(安倍、麻生、甘利)」がいると報道している。

「天衣無縫」は9月18日の自民党総裁選公開討論会で、4候補が選挙戦に臨む自身の心情や信念を揮毫したときに岸田氏が「天衣無縫」と書いたことを指している。果たして「天衣無縫」のように、自然のまま飾ることなく、美しく戦ったのかということを言いたいために、見出しにこの言葉を使ったようだ。

というのは、この報道では、岸田氏当選の「からくり」を以下のように説明している。

――日本の安倍前首相、麻生太郎副首相兼財務大臣および甘利元自民党政調会長(現税制調査会会長)の3人の「A(ア)」という音から始まる体制、すなわち「3A」体制が、長年にわたって日本の政局を操ってきた。温和で人当たりは良いが決断力に欠ける岸田が日本の首相に就任すれば、「3A」政権の傀儡首相となり果てる可能性は非常に大きい。"安規岸随"という状況が出現する可能性は極めて大きいのである。

ここにある"安規岸随"というのは「安倍が既定路線を敷いて、岸田がそれに従う」という意味で、中国語では「安」も「岸」も「アン」と発音するため語呂合わせのように「安規岸随(アン・グイ・アン・スイ)」という言葉を創ったようだ。

9月30日夜、それは現実となって現れた。

岸田新総裁は自民党内の役員人事に関して、9月30日、「麻生氏(81歳)を副総裁に」、「甘利氏(72歳)を幹事長に」起用する方針を固めた。

岸田氏を決選投票で勝たせたのは安倍前首相で、第一回投票で高市氏に投票された票を全て岸田氏に回す約束がなされたからだ。

したがって「3A」体制で動いたのはまちがいのないことだろう。

"安規岸随"とは言い得て妙なりと言わざるを得ない。

それにしても、あれだけ岸田総裁誕生に貢献した高市氏に、党の政調会長の職位しか与えないというのは納得がいかない。たとえば官房長官に採用して毎日内外記者の前面に出る存在であれば、「刷新された」という印象を国民に与えるかもしれないが、麻生氏などの何年間も見続けてきた「お馴染みの顔」「自民党の顔」になり続けていくのだとすれば、中国の分析(菅内閣の復刻版)が当たっていることになり、なんとも不愉快でならない。

「高市氏がダメなら、せめて岸田氏に」と期待した国民は、裏切られた気持ちになるのではないかと懸念する。派閥の力学は隠然と生きている。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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51-Acj5FPaL.jpg[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史  習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。

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