最新記事

中国

日米首脳会談・共同声明の「からくり」──中国は本当に「激怒」したのか?

2021年4月20日(火)21時27分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
日米首脳会談後の記者会見に臨む菅首相

日米首脳会談における菅総理の苦し気な表情 Tom Brenner-REUTERS

日本のメディアでは、あたかも中国が激怒しているように書いているが本当だろうか? 中国は実はそれほど怒っていない。なぜなら菅総理は「中国が許容する範疇内」の言葉しか使ってないからだ。その証拠をお見せする。

中央テレビ局CCTVのニュース番組では27分目にようやく1分強

まず4月17日の中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTV国際チャンネルのお昼のニュース番組の様子をご紹介する。

この番組は基本的に30分番組で、中国時間の12:00から12:30まで報道する。日本時間では13:00から13:30までだ。日米首脳会談後の共同声明が出されたのは17日の明け方頃なので、CCTV国際チャンネルの最初の報道になるとみなしていい。

私は数十年間この番組を考察してきたので、この番組でのニュースの扱い方によって中国政府の重要視あるいは抗議の度合いが分かることを知っている。そこで何時何分から何分間日米首脳会談問題を扱うかを調べようと、かじりつくようにCCTV国際チャンネルを観た。

ところが30分番組だというのに、26分過ぎてもまだ出てこない。何ごとかと思っていると27分になってようやく日米首脳会談の話題に入った。やっと来たと思って力を入れたところ、なんと1分半ほどで終わったしまったではないか。

日米首脳の様子を映した画像が1分間ほど、そして前日に中国外交部報道官が日米を非難した映像が30秒間ほど報道されただけで、次のイラン問題に入っていった。

これにより「中国は今般の日米首脳会談共同声明に対して本気では怒っていないな」ということが先ず見えてくる。これは、日本がそれほど踏み込んだ対中強硬姿勢に出てないことの裏返しである。

人民日報や新華網はスルー

激怒していない証拠に、本気で怒っている時には強い抗議声明を出す中国共産党機関紙「人民日報」も中国政府の通信社「新華通信」の電子版「新華網」も何も意思表示していない。

CCTV国際チャンネルお昼のニュースの時点までの情報としては、ただ単に人民日報の姉妹版・環球時報の電子版「環球網」にふざけたニュースが出ているだけだった。それは「両首脳がどんなマスクを付けてるか見てごらん」という内容で、ほかに言うことはないのかと思うほどのおふざけぶりだ。

同じく環球網の「日米双方にとって最も重要なのは、やっぱり中国なんだね」という、やはり「中国激怒」とは、およそかけ離れたものもある。むしろ自慢げだ。

あともう一つは「台湾の二文字があったために台湾が狂喜乱舞している」という、台湾メディアを引用して茶化したものも見られた。

日米に駐在する大使館に発信させる

中共中央あるいは中国政府が非難表明をしないのもよろしくない。何とかしなければとでも考えたのだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P横ばい・ナスダック小幅高、FO

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロ・円で上昇維持 FRB

ワールド

米・グリーンランド・デンマークが協議開始、領有問題

ビジネス

メタ、26年設備投資見通しは最大1350億ドル 「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 3
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大胆な犯行の一部始終を捉えた「衝撃映像」が話題に
  • 4
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 5
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 6
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 7
    人民解放軍を弱体化させてでも...習近平が軍幹部を立…
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    またTACOった...トランプのグリーンランド武力併合案…
  • 10
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 8
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 9
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 10
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中