最新記事

香港

日本が国安法の対象になりつつある香港民主派逮捕と保釈

2020年8月13日(木)21時46分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

香港民主活動家・周庭氏を国安法違反で逮捕(8月10日) Tyrone Siu-REUTERS

10日に逮捕された民主派複数名は11日には保釈されたが、今後の動きも含めて、その背景にある香港の特殊な法体系を考察するとともに、敵対的外国勢力がアメリカだけでなく日本にも及んでいることに注目したい。

民主派の逮捕と保釈に関する法解釈

8月10日、香港の民主化運動の象徴の一人とされている周庭さんや中国に批判的なメディア「リンゴ日報」の創始者である黎智英氏等10名ほどが逮捕され、11日には(それぞれ保釈金を積んで)保釈された。

拘束されていた時間は約24時間だが、まず香港における逮捕と保釈の法体系に関して見てみよう。

1990年に成立した香港基本法第8条には以下のように書いてある。

―― 本法(基本法)に抵触するか、もしくは香港特別行政区の立法府が改正を行う場合を除き、香港でもともと施行されていた法律、すなわちコモンロー、衡平法、条例、付属立法および慣習法は維持されるものとする。

したがって、今般の逮捕と保釈は、まずはこの基本法第8条に基づいて行われた行為と解釈することができる。

では次に、香港では逮捕と保釈に関して、どのように規定されているかに関してみてみよう。

まず香港の保釈には2種類ある。

一つは「警察保釈」で、もう一つは「法廷保釈」だ。

香港の法律の第232章には「警隊条例」があり、その52に「警察保釈」が規定されている。条文をそのまま書くのでなく、少し噛み砕いて説明すると、概ね以下のようになっている 。

――被疑者が香港警察に逮捕された場合、警察は48時間以内に速やかに起訴し、罪状認否のために治安裁判所(Magistrates' Court)に引き渡す必要がある。もし、警察が事件を起訴するのに十分な証拠があるかどうかを判断するために、さらなる捜査が必要であると判断した場合には、保釈を認め、被告人に定期的に警察署に戻ることや、直接裁判所に出頭することを求めることができる。警察条例は「当該犯罪が重大な性質のものであると判断された場合、または拘留すべきであると信じるに足る合理的な理由がある場合を除き、警察は、保証人の有無にかかわらず、合理的な金額でその者を保釈することができる」と規定されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRB、年内4回の0.25%利下げ必要 物価問題は

ワールド

米イラン3回目核協議、「合意枠組み」の可能性 依然

ビジネス

米新規失業保険申請件数は4000件の小幅増、労働市

ワールド

印イスラエル、防衛分野での協力強化へ 労働者受け入
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    戦術は進化しても戦局が動かない地獄──ロシア・ウクライナ戦争5年目の現実
  • 4
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 5
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 6
    「まるで別人...」ジョニー・デップの激変ぶりにネッ…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    「バカにされてる」五輪・選手村で提供の「アメリカ…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 4
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの…
  • 5
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 6
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 10
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中