最新記事

中東

大規模爆発のレバノン首都で反政府デモ 警官1人死亡、100人以上が負傷

2020年8月10日(月)11時33分

催涙ガスから逃げるデモ参加者。8月8日、ベイルートで撮影(2020年 ロイター/Hannah McKay)

レバノンの首都ベイルートを破壊した爆発事故は反政府デモに発展、8日には参加者らが政府庁舎に押し入るなどし、治安部隊と衝突した。

赤十字よると117人が負傷し、55人が病院に運ばれた。警察によると、デモ隊に追いかけれらた警官1人がエレベーターシャフトに転落して死亡した。

デモの参加者は、政治家の怠慢が爆発につながったと抗議。数十人が外務省の建物に押し入り、アウン大統領の肖像画を燃やした。参加者の1人はメガホンを使い、「我々はここにとどまる。レバノン国民はすべての政府庁舎を占拠せよ」と呼びかけた。

街の中心部にある殉教者広場には約1万人が集まり、中には投石する参加者もいた。治安部隊は議会につながる道路を封鎖。ロイターはデモ隊がバリケードを破ろうとし、警察が催涙ガスを発射する瞬間を目撃した。

警察は発砲があったこと、ゴム弾が発射されたことを認めた。誰が撃ったものかは明らかになっていない。警察は何十発もの催涙弾を発射、デモ参加者は爆竹と石を投げて応戦した。

テレビではデモ隊がエネルギー省や経済省に突入する場面が放映された。

ベイルートでは4日、大規模な爆発が発生して157人が死亡、6000人以上が負傷した。政府によると、爆発の原因となった2750トンの硝酸アンモニウムは6年間、安全対策が取られないまま港の倉庫に保管されていた。

爆発は、1975年から90年まで続いた内戦の傷跡が今も残る街を襲った。経済危機に見舞われているレバノンは3月にデフォルト(債務不履行)を宣言、新型コロナウイルスの感染も拡大していた。

昨年10月にも腐敗に抗議する大規模なデモが起きている。

ベイルートの米国大使館は、平和的なデモの権利が市民にはあると支持、すべての関係者に暴力をやめるよう呼びかけた。その上で、レバノン国民には「彼らの声を聞き、透明性と説明責任を求める民衆の要求に応えられる変化を実現する政治リーダーがふさわしい」とツイッターに投稿した。

ディアブ首相は、早期に議会選挙を行うことが唯一の解決策だと語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見
・韓国、コロナショック下でなぜかレギンスが大ヒット 一方で「TPOをわきまえろ」と論争に


2020081118issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
楽天ブックスに飛びます

2020年8月11日/18日号(8月4日発売)は「人生を変えた55冊」特集。「自粛」の夏休みは読書のチャンス。SFから古典、ビジネス書まで、11人が価値観を揺さぶられた5冊を紹介する。加藤シゲアキ/劉慈欣/ROLAND/エディー・ジョーンズ/壇蜜/ウスビ・サコ/中満泉ほか

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、新START失効容認を示唆 中国の参加

ワールド

韓国大統領、13─14日に訪日=メディア

ビジネス

メキシコCPI、12月は予想下回る コアインフレは

ワールド

ベネズエラ、外国人含む囚人釈放へ 国会議長表明
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 5
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 6
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 7
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 8
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 9
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 10
    「ショックすぎる...」眉毛サロンで「衝撃的な大失敗…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 8
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 9
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 10
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中