最新記事

新型コロナウイルス

クルーズ船から退避米国人14人が陽性 WHO、新型ウイルスの感染鈍化も慎重姿勢

2020年2月18日(火)08時59分

17日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は中国からの最新のデータによると、新型コロナウイルス(COVID─19)の新たな感染者の伸びは鈍化しているものの、今後の展開については「依然としてあらゆるシナリオが考えられる」と述べた。写真は11日、横浜市の大黒ふ頭に停泊するクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(2020年 ロイター/Issei Kato)

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は17日、中国からの最新のデータによると、新型コロナウイルス(COVID─19)の新たな感染者の伸びは鈍化しているものの、今後の展開については「依然としてあらゆるシナリオが考えられる」と述べた。

テドロス氏は「トレンドの見極めには極めて慎重になる必要がある」とし、この減少傾向が続くとみるには時期尚早だと記者団に語った。

テドロス氏によると、中国本土での新型コロナウイルスによる肺炎の死者は1772人。過去24時間の新たな感染者の増加は2051人だったという。

WHOで緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は、「問題は中国以外で感染が広がっているかだが、現時点では確認されていない」と述べた。

中国に関しては、発生源の武漢市や湖北省でも感染者は10万人当たり約4人だと指摘した上で、「感染は深刻で拡大する恐れもあるが、感染者数という点では平静を保つ必要がある」とした。

横浜港に検疫のため停泊し、新型ウイルスの集団感染が発生しているクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」について、WHOで世界的な感染症対策を統括するシルビー・ブリアン氏は日本当局や同船の医官と緊密に協力していると説明した。

一方、同船から退避した300人超の米国人は、派遣されたチャーター機2機でテキサス州とカリフォルニア州の米軍基地に到着した。到着後は全員が2週間にわたり隔離されるという。

退避者のうち14人は直前の検査で陽性反応が出たが、搭乗が許可された。米国務省によると、陽性患者は機内で隔離されたが、それまで約40分間にわたり他の乗客と同じ場所にいたという。このため、60人について健康観察を行うとしている。

中国の国家衛生健康委員会と世界保健機関(WHO)は17日、新型コロナウイルスの調査でこの日から北京を訪れているWHO専門家が広東省と四川省でも調査を行うと明らかにした。

WHOの広報担当は、作業が16日に始まり、当局との徹底したデータ研究などが行われていると説明。17日には北京保健当局や中国疾病対策センターと協議したほか、主要な病院を訪れたという。



ロイター


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中