最新記事

韓国社会

韓国・文在寅も心動かした「仁川のジャン・バルジャン」 その正体は?

2020年1月24日(金)19時20分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

ギャンブル依存はIR後発の日本にも?

韓国人は情に厚いというのは事実だ。筆者も韓国在住中に何度も韓国人の情に助けられた。実際に韓国人に接したことのある人なら、クッパをおごってくれた警官や20万ウォンを手渡してくれた市民がいたと聞いても、よくある人情話としてそれほど驚かないかもしれない。

しかし、それだけにその情を悪用しようとする人もいるのだろう。今回問題になった父親は嘘をついては友人たちから小銭を借りて、スポーツ宝くじやネットカフェでオンラインカジノなどギャンブルにつぎ込んでいたようだ。善意を利用し、人の気持ちを簡単に踏みにじりながらも、のめり込んでしまう姿にギャンブルの魔力の怖さを感じる。賭博中毒の恐ろしさを改めて浮き彫りにした事件だ。

また、これを韓国だけの問題と片付けることはできない。現在、日本ではIR(統合型リゾート)構想が進みつつある。賛否両論あるなか、もしもこのままカジノが定着してしまったら、ギャンブル依存症が増え、日本でも遠くない将来、第二の「偽ジャン・バルジャン」を生み出してしまうかもしれない。それでなくとも、すでに日本では非正規雇用者の貧困や貧富の差が問題になっている。政府は、入場回数の制限や、入場料の徴収などを定めていくとの発表をしているが、なるべく早いうちに具体的なギャンブル依存症への対策を策定すべきだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スターバックス中国事業、最終入札にカーライルやEQ

ビジネス

出光興産、富士石油に1株480円でTOB 完全子会

ワールド

韓国キャピタルゲイン課税強化、大統領は必要ないと明

ワールド

焦点:中ロ朝の「独裁国家連合」、西側の対抗軸となる
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題」』に書かれている実態
  • 3
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、6000万ドルのプライベートジェット披露で「環境破壊」と批判殺到
  • 4
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 5
    毎朝10回スクワットで恋も人生も変わる――和田秀樹流…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    カップルに背後から突進...巨大動物「まさかの不意打…
  • 8
    村上春樹が40年かけて仕上げた最新作『街とその不確…
  • 9
    謎のロシア短波ラジオが暗号放送、「終末装置」との…
  • 10
    富裕層のトランプ離れが加速──関税政策で支持率が最…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 4
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 5
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 6
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    エコー写真を見て「医師は困惑していた」...中絶を拒…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中