最新記事

南米

チリ反政府デモ、20人以上の死者出し収束見えず ペソ最安値で経済に打撃

2019年11月13日(水)10時55分

反政府デモが続くチリで12日、公務員が新たに全国的な大規模ストライキを実施する計画を表明した。政府が新憲法制定に応じたものの、事態収束のめどは立っていない。バルパライソで撮影(2019年 ロイター/Rodrigo Garrido)

3週間にわたる反政府デモが続くチリでは12日、公務員が全国規模の新たなストライキを表明するなど、収束する兆しが見えていない。通貨ペソが最安値を更新するなか、ブリオネス財務相は、通貨安が国内経済に大きな打撃を及ぼしていると指摘し、平常に戻るよう国民に呼びかけた。

抗議活動は時に暴徒化し、放火や略奪などに発展。これまでに少なくとも20人の死者が出ている。反政府デモの要求に屈する格好で、ブルメル内務相は10日、ピノチェト軍事政権時代に制定された憲法に代わる新たな憲法の草案を作成することで合意したと発表した。[nL4N27R4FR]

トラック運転手や他のデモ参加者はこの日、首都サンティアゴと港湾地域などをつなぐ少なくとも2つの主要高速道路にバリケードを設置し、交通渋滞や一部の地方議会の機能まひなどを引き起こしている。サンティアゴでは学校やビジネスの多くが閉鎖された。

ペソは12日、一時1ドル=800ペソを割り込んで下落した。10月中旬からは10%超下げている。

ブリオネス財務相は、ペソ安は懸念すべき兆候だと指摘し、ペソ相場を注視していると述べた。また、数週間におよぶストや抗議デモ、公共交通の混乱などで、経済に30億ドルの打撃が及んでいるとの見方を示した。

チリ中央銀行のマルセル総裁は声明を発表し、ペソ安にも関わらず、財政状況は引き続きしっかりとしているとの見方を示した。

中銀はデモの経済への影響を注視してきたとしたうえで、「国内の金融システムは健全で、(リスクへのエクスポージャーは低く)財政状況はしっかりとしている。外貨準備と政府系ファンドは適切な水準を維持している。インフレ期待は3%で抑制されており、金融政策は状況に合わせて適切に運営されている」と説明した。

この日公表されたロイターのアナリストを対象にした調査によると、中銀は12月の会合で政策金利を1.5%に引き下げる見通し。5カ月後の政策金利は1.25%と予想されている。

消費者物価指数(CPI)は、11月は横ばい、12月は0.1%上昇が見込まれている。12月CPIは前年比2.7%上昇と、中銀目標をわずかに下回る見通し。

*内容を追加しました。

[サンティアゴ ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます



20191119issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

11月19日号(11月12日発売)は「世界を操る政策集団 シンクタンク大研究」特集。政治・経済を動かすブレーンか、「頭でっかちのお飾り」か。シンクタンクの機能と実力を徹底検証し、米主要シンクタンクの人脈・金脈を明かす。地域別・分野別のシンクタンク・ランキングも。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、原油高抑制策を検討

ワールド

トランプ氏、米地上部隊のイラン派遣巡る決定には「程

ワールド

情報BOX:G7、緊急石油備蓄の放出を検討 各国の

ワールド

仏、地中海・紅海へ海軍艦艇約12隻を派遣 同盟国防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 8
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 9
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中