最新記事

中東

トランプ「イラン攻撃の用意できてる」 中央銀行などへの制裁も発表

2019年9月21日(土)11時08分

トランプ米大統領は20日、イラン中央銀行に制裁を発動したことを明らかにした。中銀の外観。8月撮影(2019年 ロイター/Nazanin Tabatabaee)

米財務省は20日、イランの中央銀行などを対象とした新たな制裁を発表した。サウジアラビアの石油施設攻撃にイランが関与した可能性があることを踏まえた措置とみられる。

制裁対象は、イラン中銀のほか、イラン国家開発基金(NDFI)や企業1社。財務省はイラン軍の調達にこの企業が隠れ蓑として利用されていると指摘した。

トランプ大統領は今回の対応について「最高度の制裁」を科したと指摘。ムニューシン財務長官は「イランによるサウジへの恥知らずな攻撃は容認できない」と表明。中銀がイラン政府に残されていた最後の資金源だったと明らかにした上で「米国は引き続き(イランに対し)最大限の圧力をかけていく。今回の対応は非常に大規模なもので、イランに通じるすべての資金源を絶った」と語った。

先週14日に発生したサウジの石油施設に対する攻撃を巡って、米・サウジ当局はイランが関与したと主張。一方、イランは関与を否定している。

あるアナリストは、すでに発動されている制裁によってイランの石油収入が枯渇し、同国の金融機関が世界から遮断されていることを踏まえると、新たな制裁は「表面的な措置に過ぎない」と指摘する。

また、トランプ大統領はイランに対する武力攻撃の可能性について、米国はいつでも用意ができており、武力攻撃を行う可能性は常にあると明言した。同時に対立は高まっているが平和的な解決策を望むとも強調した。

共和党のグラム上院議員はツイッターへの投稿で「イランを罰し、同国への抑止を取り戻すため、国防総省がトランプ大統領に幅広い選択肢を提示することを」望むとの考えを示した。

サウジ攻撃が14日に発生する前、トランプ大統領は対イラン制裁緩和の可能性を示唆し、来週ニューヨークで開かれる国連総会でイランのロウハニ大統領との会談する可能性に前向きな姿勢を示していた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250121issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月21日号(1月15日発売)は「トランプ新政権ガイド」特集。1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響を読む


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

リオ・ティントとグレンコア、統合協議も進展なし=関

ワールド

中国総人口が3年連続減少、24年末は14.08億人

ワールド

韓国大統領の逮捕状請求へ、17日の拘束期限控え当局

ビジネス

ステランティス、24年10─12月期出荷台数9%減
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 2
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の超過密空間のリアル「島の社交場」として重宝された場所は?
  • 3
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 4
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    内幕を知ってゾッとする...中国で「60円朝食」が流行…
  • 7
    ロス山火事で崩壊の危機、どうなるアメリカの火災保険
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 10
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    ロシア兵を「射殺」...相次ぐ北朝鮮兵の誤射 退却も阻まれ「弾除け」たちの不満が爆発か
  • 4
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 5
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 8
    トランプさん、グリーンランドは地図ほど大きくない…
  • 9
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 10
    古代エジプト人の愛した「媚薬」の正体
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中