最新記事

日韓関係

韓国・文在寅、日本が対話望めば「喜んで手を結ぶ」 解放祝う光復節の演説で

2019年8月15日(木)14時42分

韓国の文在寅大統領(写真)は、日本が帝国主義の過去を顧みることを望むとした上で、日本側が対話を選択すれば「喜んで手を結ぶ」と述べた。写真は韓国チョナンでの代表撮影(2019年/ロイター)

韓国の文在寅大統領は15日、日本が帝国主義の過去を顧みることを望むとした上で、日本側が対話を選択すれば「喜んで手を結ぶ」と述べた。

文大統領は日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、自国が優位にある分野を「武器」にすれば自由貿易の秩序が脅かされかねないと警告した。

韓国は、日本が半導体材料などの輸出規制を強化したことを、元徴用工問題を巡る報復と主張している。

文大統領は「われわれは日本が、隣国に不幸をもたらした過去について熟考するとともに、東アジアの平和と繁栄を共にけん引することを望む」と述べた。

ソウル市内では、徴用工だった人を含む数千人が日本大使館へデモ行進した。参加者は「安倍体制を非難」、「元徴用工に謝罪せよ」といったプラカードを掲げ、「戦うぞ」、「補償しろ」と声を挙げた。

梨花女子大学のレイフ・エリック・イースリー准教授(国際関係論)は「最近の韓日関係悪化は、経済的利益が危機に瀕しているということ、相手国の国内政治や地域の安全保障面の深刻な状況に対する認識が欠けていることの表れだ」としたうえで「文大統領の日本に関する発言は、経済協力の重要性を強調し、外交の余地を残したものだ」と語った。

文大統領は、南北関係について、2032年の五輪共同開催や2045年までの統一を達成するために取り組む姿勢を強調した。

これらの目標達成は、はるか先のことだと考えられてきた。北朝鮮は最近、新型短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しており、北朝鮮の非核化に向けた米朝協議は停滞している。

ただ、文大統領は「北朝鮮による最近の懸念すべき行動にもかかわらず、対話に向けた勢いは揺るぎない」と主張し、日本からの解放100年となる2045年までに和平と統一を達成し、「一つのコリア」となるための基礎をしっかりと築くと表明した。

*内容を追加しました。

[ソウル 15日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

冷戦時代の余剰プルトニウムを原発燃料に、トランプ米

ワールド

再送-北朝鮮、韓国が軍事境界線付近で警告射撃を行っ

ビジネス

ヤゲオ、芝浦電子へのTOB価格を7130円に再引き

ワールド

インテル、米政府による10%株式取得に合意=トラン
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋肉は「神経の従者」だった
  • 3
    一体なぜ? 66年前に死んだ「兄の遺体」が南極大陸で見つかった...あるイギリス人がたどった「数奇な運命」
  • 4
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 5
    『ジョン・ウィック』はただのアクション映画ではな…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 8
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 6
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 7
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 8
    「このクマ、絶対爆笑してる」水槽の前に立つ女の子…
  • 9
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 10
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中