最新記事

韓国事情

韓国・文在寅大統領は日本との関係には無関心?

2019年8月6日(火)17時00分
佐々木和義

日本との関係には無関心なのか? Henrik Montgomery/TT News Agency/via REUTERS

<1965年の日韓基本条約以降、韓国の歴代政権は友好と反日を繰り返しながらも日本外交を重視してきたが、文在寅大統領は日本との関係には無関心という声がある......>

8月2日、日本政府が輸出管理上の優遇措置をとるホワイト国から韓国を除外することを決定したが、それを受けて韓国政府も臨時閣議を開催した。文在寅大統領は日本政府の決定を韓国大法院が日本企業に賠償を命じた判決に対する貿易報復と主張し、困難はあるが克服すると述べるなど対決する姿勢を強調した。韓国国会も日本の輸出規制の撤回を求める決議案を全会一致で採択している。韓国政府は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を継続しないなど報復を辞さない考えだ。

自由貿易に反する経済報復という主張を繰り返す韓国

世耕経済産業大臣は会見で、韓国をホワイト国から除外する改正をキャッチオール規制だと述べている。日本は大量破壊兵器等の開発や製造、通常兵器に使われる可能性がある製品等の輸出に経済産業大臣への届出と許可を義務付け、併せて規制対象外の国や地域を定めている。アジアで唯一、ホワイト国に含まれてきた韓国は8月28日より新分類のグループBになるが、正当な輸出はこれまで通り継続される。

キャッチオール規制を政令で運用する日本に対し、韓国は法律に格上げして厳格な運用を行っていると主張する。韓国野党「正しい未来党」の河泰慶(ハ・テギョン)国会議員は7月12日に会見を開いて国連の対北制裁が実施された2006年10月以降、日本の不正輸出は16件に上ると批判した

一方、2019年5月17日付け朝鮮日報によると、2015年から2019年3月に当局が摘発した韓国企業の不法輸出は156件で、2015年に14件だった摘発件数は、2018年には41件に増加、2019年は3月までで31件に達している。2015年9月と18年3月には北朝鮮と武器取引が行われており、また、金正男氏の暗殺に使われたものと同じVXガスの製造物質原料がマレーシアに輸出されたことが判明するなど、韓国の専門家は第3国を経由して北朝鮮に渡った可能性を排除できないと指摘する。

輸出管理を問題視する日本に対し、韓国は自由貿易に反する経済報復という主張を繰り返す。ジュネーブで7月24日に開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、日本代表は定期的に輸出管理を見直しているとした上で、信頼に基づいて韓国をホワイト国に指定したが、日本が求める協議が過去3年間行われず、不適切な事案があったと説明した。しかし、韓国代表は元徴用工問題に対する報復であり自由貿易制度に反すると強調、国際社会の賛同を求めたが各国代表は日韓の対立に巻き込まれたくないと意見を述べることはなかった。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米EVリビアンが約1%人員削減発表、需要低迷受け今

ビジネス

USスチール買収計画の審査、通常通り実施へ=米NE

ビジネス

企業の資金需要DIはプラス4、経済の安定推移などで

ビジネス

ネットフリックス、会員数公表停止へ 1─3月大幅増
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中