最新記事

日韓関係

徴用工問題は日韓貿易戦争へ発展? 日本の半導体材料規制に韓国はWTO提訴を計画

2019年7月1日(月)18時45分

韓国向け半導体材料の輸出規制強化を発表した日本に対し、韓国は世界貿易機関(WTO)ルールに違反するとして強く反発した。(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)

政府は1日、韓国向け半導体材料の輸出規制を強化すると発表した。元徴用工訴訟に関する対抗措置ではないとする一方、同訴訟をめぐって日韓の信頼関係が崩れたことが背景にあると説明。韓国側は世界貿易機関(WTO)ルールに違反するとして強く反発している。

輸出管理上の不適切な事案が理由、対抗措置ではない

経済産業省は1日、フッ化ポリイミドなどの半導体材料3品目の韓国への輸出について、7月4日から契約ごとに審査・許可する方法に切り替えると発表した。韓国に関する輸出管理上のカテゴリーを見直し、手続き簡素化の対象国である「ホワイト国」から外す方向で政令改正の手続きに入る。

この措置について同省では、元徴用工訴訟を巡る外交関係を背景に韓国との信頼関係が崩れ、輸出管理上の「不適切な事案」が発生したことを理由に挙げている。「韓国に関連する輸出管理上の措置であり、対抗措置ではない」と説明する。

西村康稔官房副長官も1日の会見で今回の措置は元徴用工訴訟を巡る対抗措置ではないとの認識を示し、「自由貿易に逆行するものではない」と語った。

「WTO提訴を計画」と韓国

韓国の成允模・産業通商資源相は、日本の輸出規制強化は「報復措置」だとして、「深い遺憾の意」を表明。世界貿易機関(WTO)への提訴を計画していると明らかにした。

また聯合ニュースによると、韓国外務省は長嶺安政・駐韓大使を呼び、抗議した。

今回の措置は、エレクトロニクスや半導体製造用の材料で日本製品のシェアが高いフッ化ポリイミド、レジスト、フッ化水素の3品目について、包括輸出許可制度の対象から外し、個別に輸出許可申請を求めるもの。これまでは3品目に関する韓国への輸出手続きでは、簡略化する優遇措置が採用されていた。

また、輸出管理上の国別カテゴリーにおいて、手続き簡素化の対象となる「ホワイト国」である韓国を対象から外す方針。対象除外に向けた手続きとして、政令改正に向け7月下旬まで意見募集の手続きに入る。8月下旬をめどに実施する方針を公表する見通し。同省によると、「ホワイト国」の対象となっている国が、除外されるのは過去に例がない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中