最新記事

米イラン

米軍無人機、イラン領空を侵犯か国際空域で撃墜か

Iran Says U.S. 'Lying' About Where Drone Shot Down; Military Releases Video

2019年6月21日(金)13時55分
トム・オコナー

イラン外相がツイッターに投稿した手描き地図。右側の黒い丸が示すように、米軍の無人機は図の上側のイランに近づき領空を侵犯していた、と説明している Foreign Ministry of the Islamic Republic of Iran

<米軍の無人偵察機が領空を侵犯したので撃墜したというイラン側に対し、アメリカは国際空域で違法に撃ち落とされたと反論。石油タンカー攻撃と同様、真相が見えないまま緊張だけが高まっている>

イランのジャバド・ザリフ外相は6月20日午後、ペルシャ湾上空で米軍の無人偵察機に本当は何が起こったのかを絵にして公表した。

オマーン湾とホルムズ海峡上の国際空域を飛行していたアメリカの無人偵察機「RQ-4Aグローバルホーク」がイラン革命防衛隊によって撃墜されたとするアメリカの言い分は「嘘だ」と言った。無人偵察機が実際にイランの領空内にいた証拠の一つとして、手描きの絵をソーシャルメディアに投稿した。

「午前1時14分、米軍の無人偵察機がアラブ首長国連邦の基地をステルスモードで離陸し、イランの領空を侵犯した。同機は午前4時5分、北緯25度59分43秒、東経57度2分25秒の地点で標的とされた」とザリフはツイッターに投稿した。「現に我々は、撃墜した無人偵察機の一部を『我が国の』領海内で回収した」

このツイートよりも前に、米国防総省は独自の地図を公表し、無人偵察機が撃墜されたのはイラン沿岸から約34キロの国際海域の上空だったと主張していた。米空軍のジョセフ・グアステラ中将はこの撃墜について「任務のいかなる時点においてもイラン領空を侵犯していなかった。米軍の偵察機にいわれのない攻撃」と称し、「偵察機がイラン上空で撃墜されたとするイランの報道はまったくの誤りだ」と主張した。

us-map-iran-gulf-drone-attack.jpg
米中央軍が出した地図。無人機が撃墜された場所は、ホルムズ海峡近くに青い丸で示されている。米軍は無人機は国際空域を一度も出ていないと主張している U.S. CENTRAL COMMAND PUBLIC AFFAIRS

米・イランの緊張は悪化の一途

そして両国とも、RQ-4Aが炎に包まれて落下する様子とみられる映像を事件の直後に公開した。アメリカとイランは長年にわたって敵対関係にあるが、ドナルド・トランプ米大統領が2015年に締結されたイラン核合意を一方的に離脱を表明し、厳しい制裁を再開して以降、両国の関係はさらに悪化している。

イラン核合意ではイランと主要6カ国が、イランが核開発計画を大幅に縮小するのと引き換えに、対イラン制裁を緩和することで合意した。イランとアメリカ以外の署名国――中国、フランス、ドイツ、ロシアとイギリス――はアメリカの離脱後も同合意に留まっているが、アメリカのイランに対する経済制裁を止めることができない。経済的に追い詰められたイランは、このままなら核兵器にも使える高レベルのウラン濃縮を開始すると発表した。

イランは、核開発計画は平和利用のみが目的だと一貫して主張してきた。だがアメリカは、核合意に抜け穴があるためイランは武装組織を支援し、弾道ミサイルの開発も行っていると主張している。イランを脅威と見るイスラエルとサウジアラビアも同意見だ。

今回イランは、高空飛行を行っていたRQ-4Aを、国内で開発した中距離地対空ミサイル「Khordad3」で撃墜したと主張している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米軍がホルムズ海峡封鎖へ、イランは交渉に戻る見通し

ワールド

ロシア・ウクライナ復活祭停戦、発効数時間で双方が違

ワールド

米イラン協議決裂、核・ホルムズ海峡で溝埋まらず 停

ワールド

中国、台湾向け観光規制緩和など新措置 野党党首訪中
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    新しいアメリカンドリームは「国外移住」...5人に1人が海外を希望する時代
  • 2
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相場で人気の優良株から売られる落とし穴
  • 3
    健康を守るはずのサプリが癌細胞を助ける? 思いがけない副作用に研究者が警鐘
  • 4
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 5
    【銘柄】イラン情勢で一躍脚光の「NEC」 防衛・宇宙…
  • 6
    中国が恐れる「経済ドミノ」
  • 7
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 10
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 8
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中