最新記事

陰謀説

ノートルダム大火災で米右派が広める陰謀説

Dobbs Says Ruling Out Arson Is a ‘Political Decision’

2019年4月18日(木)15時45分
デービッド・ブレナン

大火災直後のノートルダム大寺院(4月16日) Christophe Petit Tesson-REUTERS

<仏当局が早々に「放火が原因ではない」と発表した理由は、これがテロとわかればフランス全土が炎に包まれるからだ、と彼らは言う>

パリ・ノートルダム大聖堂の火災で、仏当局が放火の可能性はなしと早々に判断したのは間違いだ──米FOXビジネスのキャスター、ルー・ドブスは、そう示唆した。

火災発生から一夜明けた4月16日、ドブスは数人の右派コメンテーターが唱える陰謀説に呼応し、火災の原因を調査もできない段階で、放火ではないと発表した仏当局に疑義を呈した。ただ、その根拠は明らかにしなかった。

火災発生後まもなく、仏当局は放火の可能性を否定し、「火災による偶発的破壊」との見立てで調査を開始した。火災が起きたとき、大聖堂では大規模な修復工事が行われており、報道では、この作業に関連した何らかのミスが火災を招いた可能性があると伝えられた。

しかしドブスは、これは「政治的な判断」だという。「わずか数時間で仏当局は放火という1つの可能性を排除した。たった数時間で。別の思惑が働いたと言わざるを得ない」と、ドブスは視聴者に言った。「事実の慎重な調査に基づく判断ではなく、政治的な判断だ」

イスラム過激派の犯行を示唆

ドブスは、フランスでは教会破壊事件が急増していると指摘する。「火災発生時から見過ごされてきたのは、フランスでは昨年875のカトリック教会が破壊されたことだ。言っておくが、875だ。今年3月にはわずか1週間で12の教会が破壊された。その中にはパリで起きた放火事件も含まれる。これが今回の火災の背景だ。これは憶測ではない。げんに今フランスで起きていること、フランス全土でカトリック教会に起きていることだ」

【関連記事】ノートルダム火災で浮かび上がった、フランスで1日2件起こっている教会破壊(放火され人糞をまかれ破壊され......)

事件の背景はしばしば「悲劇を隠蔽するために無視される」と、ドブスは言う。「ノートルダム大火災の原因について、自分たちの判断も憶測の域を出ないのに、『憶測』を排除した当局は、『これは放火ではない』と福音のように広めている」

ウィーンに本部を置く「欧州のキリスト教徒に対する不寛容と差別監視団」は3月、本誌の取材に対し、教会破壊の多くは、世俗主義者、フェミニスト、その他の反宗教団体によるものとみられると回答した。

ドブスは、放火を行なった可能性がある特定のグループを名指ししていないが、フランスの保守派コメンテーターは、この火災は政治的テロリストの仕業だと仄めかそうとした。アンカーのシェパード・スミスはこれを即座に遮ってインタビューを切り上げたと、ニュースサイト・メディアアイトが伝えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米イラン協議、11日に開始 「成否分ける重要局面」

ワールド

ウクライナ、イースター停戦延長と協議再開呼びかけ 

ワールド

再送イラン、レバノン停戦と凍結資産解除を要求 対米

ワールド

アングル:レバノン、イスラエルとの交渉で弱い立場 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 6
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 7
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 10
    アメリカは同盟国の「潜在的な敵」となった...イラン…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 7
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 8
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 9
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 10
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中