アングル:レバノン、イスラエルとの交渉で弱い立場 ヒズボラ反発で難航必至
2026年4月10日、レバノンのティレで撮影。REUTERS/Louisa Gouliamaki/File Photo
Laila Bassam Maya Gebeily
[ベイルート 10日 ロイター] - レバノンのアウン大統領は、米・イスラエルとイランとの戦争が勃発して以来、長年の敵国であるイスラエルとの直接対話を呼びかけてきた。イスラエルのネタニヤフ首相がようやく和平対話の呼びかけに応じたものの、専門家は、レバノンは和平を実現する上で最も弱い立場にあると指摘している。
南レバノンでイスラエル軍と衝突を続けている、イラン支援下にある武装組織ヒズボラは直接交渉に反対しており、国家が停戦協定で合意してもそれを順守するか疑問視されている。ヒズボラに近いあるレバノン当局者は「レバノンとイスラエルの間で行われる協議は、率直に言って無意味だ。なぜなら、レバノン側には交渉力がないからだ」と語った。
ヒズボラの支持基盤であり、イスラエルの攻撃の矢面に立たされてきたシーア派イスラム教徒は、自分たちを守ることに失敗した国家にほとんど信頼を置いていないと述べている。
ネタニヤフ氏が閣僚に直接対話の準備をするよう指示したのは、イスラエルによるレバノン全土への攻撃で300人以上が死亡した翌日のことだった。
匿名を条件にロイターの取材に応じた2人の当局者を含む多くのレバノン国民は、ネタニヤフ氏がこのタイミングでようやく協議を受け入れたのは、米国が今週末にイランとの協議を開始するにあたり、米政府の歓心を買うための見せかけであり、最終的にはレバノンでの戦争を継続させるためのものだと考えていると述べた。
レバノンの新聞「アンナハール」の副編集長、ナビル・ブーモンセフ氏は「イスラエルがレバノンとの交渉に同意したからといって、ことが簡単に運ぶとは限らない。問題は、われわれには他に選択肢がないということだ」と語った。レバノン国家は歴史的に弱体で、汚職、頻繁に行き詰まる宗派間の権力分担制度、ヒズボラとイスラエルの間の内戦と戦争の繰り返しによって身動きが取れなくなっている。
レバノンの金融システムは2019年に崩壊し、20年にはベイルート港での化学爆発で200人以上が死亡した。このいずれについても、責任を問われた者はいない。
24年9月に実施されたアラブ・バロメーターの調査によると、レバノン国民の76%が政府を全く信頼していないことが明らかになった。
カーネギー国際平和財団中東センターのマイケル・ヤング氏によると、レバノンは分裂した状態で協議に臨むことになる。ヒズボラを武装解除することは、「シーア派コミュニティー全体との対立を招くことになる。彼らは敵に囲まれていると感じているため、ヒズボラの武装解除を受け入れないだろう」という。
また同氏は「交渉の条件が不明確であること、交渉自体を巡って意見が分かれていること、要求が拒否されるであろうこと、そしてイスラエル軍の撤退を実現するために必要な行動が取れないことから、レバノンは弱い立場にある」と述べた。





