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中南米

ベネズエラの危機解決は南アフリカとチリに学べ

2019年3月8日(金)16時20分
マイケル・アルバートゥス(シカゴ大学政治学准教授)

4つ目は野党と与党の穏健派の間で総選挙実施後、連立暫定政権を発足する合意を結ぶことだ。ここで再び手本になるのは南アフリカ。アパルトヘイト廃止後の5年間、マンデラが率いるアフリカ民族会議は、アパルトヘイトを推進した旧与党の国民党に対し、低支持率にもかかわらず政権への参加を認めた。

以上の条件がそろえば、政権交代は可能だ。アメリカも軍の介入をちらつかせるより、中米諸国や米州14カ国でつくるリマ・グループなどの関係各国と協力し、裏方に回って交渉を後押しすべきだ。

だが国際的な人道支援物資の搬入を政権側が阻んだように、合意に至るまでの障害は多い。マドゥロは与野党の合意が成立すれば、自身が排除されることを承知しているからだ。

大統領退任に当たり、ほぼおとがめなしに出国する機会を与えられれば、マドゥロも考えを改めるかもしれない。それに、ベネズエラの政治的な後ろ盾となり、マドゥロを喜んで受け入れる国が少なくとも1つはある。ロシアだ。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年03月12日号掲載>

※3月12日号(3月5日発売)は「韓国ファクトチェック」特集。文政権は反日で支持率を上げている/韓国は日本経済に依存している/韓国軍は弱い/リベラル政権が終われば反日も終わる/韓国人は日本が嫌い......。日韓関係悪化に伴い議論が噴出しているが、日本人の韓国認識は実は間違いだらけ。事態の打開には、データに基づいた「ファクトチェック」がまずは必要だ――。木村 幹・神戸大学大学院国際協力研究科教授が寄稿。

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