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外国人労働者

日本に労働者を送り込むネパールのブローカー暗躍 韓国のEPSを参考にとの声も

2019年2月5日(火)17時15分
竹田 亮(時事通信社ニューデリー特派員)※時事通信社発行の電子書籍「e-World Premium」より転載

「日本留学」などの看板を掲げるバグバザール地区のコンサルタンシー=1月19日、カトマンズ(写真はすべて筆者撮影)

日本政府が外国人労働者の受け入れ拡大を狙い、新在留資格を4月から導入するのを前に、日本に多くの移民を送り出してきたネパールでは、自国民の生活、労働環境を保障するため、日本との政府間合意を求める声が高まっている。背景には、移民先での虐待や、出国準備を担うブローカーが絡む搾取といった問題がある。

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語学力と適応力に高評価

昨年6月末時点で、日本に暮らすネパール人は8万5000人超。在留外国人の国籍別では、中国、韓国、ベトナム、フィリピン、ブラジルに次いで6番目に多い。日本政府が2008年にまとめた「留学生30万人計画」などを背景に、過去10年で7倍超に急増した。日本では留学ビザで週28時間を上限にアルバイトとして働けることから、就労目的で来日する留学生も多い。

日本政府関係者は、ネパール人について「もともと国内に100を超える民族があり、互いにコミュニケーションを取る必要性から、さまざまな言語を話す能力、適応力に優れている。日本語習得にもさほど時間はかからないようだ」と評価する。

隣国インドでは、渡航に査証が不要なこともあって多くのネパール人が働いており、「正直で勤勉」というイメージを持たれている。英国や英連邦の国々が、ネパール人の精鋭傭兵(ようへい)部隊「グルカ兵」を重用するのにも同じ理由があるとされる。

ネパールは、中国とインドに挟まれ、世界最高峰エベレスト(8848メートル)がそびえ立つヒマラヤ山脈沿いの人口約3000万人の小国。2008年に王制から共和制に移行したものの、政治家は政争に明け暮れ、経済発展が遅れている。労働力を吸収できる大きな産業がなく、2016年の1人当たり国内総生産(GDP)は、アジアで最低レベルの約850ドル(約9万3000円)。出稼ぎ労働者からの送金はネパール経済にとって重要で、国際労働機関(ILO)の調査では、2015年のGDPの約3分の1を占める。

ネパール政府の統計では、2017年の移民労働者は約35万4000人。移民労働局幹部らによると、公式な労働許可を得ずに出国するケースも多く、実際はさらに多数が海外で就労しているとみられる。

最多はマレーシア、次いで湾岸諸国への渡航が多い。移民労働者問題についての著書がある地元メディアグループ・カンティプルのジャナク・ラジ・サプコタ記者は「渡航費用や語学能力、専門技術が十分でない人はマレーシアや湾岸諸国へ働きに行く。一定程度の費用を負担でき、勉強ができる人は日本へ、さらに余裕がある人はオーストラリア、欧州、米国に留学後、現地で就労先を探すという図式だ」と説明する。

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