同胞の保護か中国への配慮か、板挟みになるカザフスタン
サウイトバイの判決も当初は世論に支えられた勝利とみられていた。人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのマイヤ・ワングは「カザフスタン当局が中国に歯向かえる」ことを示した判決だと評価した。
しかし、その後の展開には不穏な空気が漂っている。サウイトバイの姉妹と友人が拘束されたことだけではない。判決の1~2日後から、サウイトバイは自身の弁護士によって報道陣を含むあらゆる人との接触を禁じられ、3カ月~1年かかる難民申請が認められるまで誰も彼女に近づけないという。さらに、サウイトバイの自宅に何者かが侵入した痕跡も報告されている。
サウイトバイの判決は確かに小さな勝利だったかもしれない。だが中国の影に怯える国々で経済的利益よりも基本的人権が優先される日が訪れるのは、まだ先のことになりそうだ。
<本誌2018年8月28日号掲載>

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