最新記事

米軍事

トランプ、シリア情勢巡り補佐官らと協議 最終決定に至らず

2018年4月13日(金)08時54分

4月12日、トランプ米大統領(写真)は、化学兵器使用の疑いがあるシリアへの対応について国家安全保障チームと協議した。ワシントンで10日撮影(2018年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領は12日、化学兵器使用の疑いがあるシリアへの対応について国家安全保障チームと協議した。ただ、最終決定には至らなかったほか、トランプ氏が軍事行動について「いつになるかを言ったことは一度もない」とツイートしたことで市場では警戒感が和らいだ。

一方、ロシアのネベンジャ国連大使は同日、米国との戦争の可能性について「排除できない」と警告し、米国や同盟国にシリアに対する軍事行動を控えるよう求めた。

トランプ大統領は前日、ダマスカス近郊にある反体制派の拠点で今月7日に化学兵器が使用された疑惑に対応し、シリアに「ミサイルが向かう」とツイッターに投稿するとともに、シリアのアサド政権を支援するロシアを厳しく非難していた。

ただ、12日のツイートでは「シリアへの攻撃がいつになるかを言ったことは一度もない。すぐかもしれないし、全くそうではないかもしれない」とトーンダウン。

ホワイトハウスは、大統領と国家安全保障チームの協議について、「最終決定には至っていない」と発表。「引き続き情報を精査し、パートナー国および同盟国と対話を続けている」とした。

フランスのマクロン大統領は、シリアで化学兵器が使用された「証拠をつかんでいる」と明かし、必要な情報がすべてそろい次第、攻撃するかどうかについて判断すると語った。

ただ、ロシアと西側諸国が直接対峙する事態を回避するための取り組みが行われている兆しもある。ロシア大統領府は、シリア情勢を巡る突発的な衝突を回避するための米国とのホットラインについて、双方が使用していることを明らかにした。

ロシアのネベンジャ国連大使は「戦争の危険性を回避することが当面の優先課題となる。取り返しがつかない状態にならないことを願う」と語った。

一方、オランダにある化学兵器禁止機関(OPCW)は、シリアに派遣した専門家チームが14日に現地で調査を開始すると明らかにした。トランプ大統領と同盟諸国が攻撃の判断を調査結果が出るまで先送りするかどうかは明らかではない。

マティス米国防長官は議会で、軍事行動に関するいかなる決定も下してないと表明した。

シリアに対する軍事力行使が差し迫っていない可能性をトランプ大統領が示唆したことを受け、世界の株式市場は持ち直しの動きとなった。



[ワシントン/国連 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ・メディア、第3四半期は損失拡大 SNS頼

ワールド

米航空便の欠航・遅延が悪化、運輸長官は感謝祭前の運

ビジネス

景気動向一致指数9月は1.8ポイント上昇、3カ月ぶ

ビジネス

日清食品HD、通期業績予想を下方修正 国内の原材料
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 10
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中