シェール革命は終わらない 今度はカナダが舞台
セブン・ジェネレーションズと、同じくカルガリーに拠点を置くエンカナは、デュバネイとモントニーで開発を行う主な生産者の一部だ。一方、英蘭系石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルや米コノコフィリップスのような世界的な石油メジャーは昨年、オイルサンドから撤退したが、カナダのシェール資産の開発は進めている。
米石油大手シェブロンは昨年11月、デュバネイで同社初のカナダのシェール開発に着手すると発表。同社の広報担当者は、北米で最も見込みあるシェール開発の機会の1つだと語った。また、コノコフィリップスのアル・ヒルシュバーグ上級副社長も同月、モントニーに大量生産と利益のポテンシャルをみていると述べている。
シェルは今年、米国で最大級の生産高を誇るテキサス州西部のパーミアン盆地に次いで、デュバネイに投資する計画だと、同社の広報担当者は説明。「われわれは、セディメンタリー盆地で応用できる何かをパーミアンで学ぶことができるかもしれない。またその逆も同様である」と話した。
カナダのエネルギー当局者は現在、新たな投資を呼び込むため、「タイトオイル(軽質油)」とも呼ばれるシェール資源に期待をかけている。
「アルバータ州のエネルギー開発の未来をけん引するのは、主に軽質油と液化天然ガスになっていくとわれわれはみている」と、オイルサンドとカナダのシェール資源の大半が眠る同州のエネルギー大臣、マーガレット・マックウェイグ・ボイド氏は語った。
フラッキングの未来
オイルサンド開発は2010─14年、アルバータ州経済の成長率を年率5.5%に押し上げた。これは国全体の成長率の約2倍である。だが、2014年の石油価格の急落により、同州はリセッション(景気後退)に陥ったため、生産者は計画していたプロジェクトのうち、少なくとも総額約320億ドル(約3.5兆円)分の中止に追い込まれた。
カナダ石油生産者協会によると、オイルサンドへの設備投資は2017年、3年連続で減少しているが、他の石油・ガス投資は前年比40%増の約310億カナダドル(約2.7兆円)だった。今年はさらに330億カナダドルにまで増加する見通しで、これはオイルサンド投資予想額のほぼ3倍である。
シェールオイル・ガスの水圧破砕は、オイルサンドからタールのようなビチューメンを抽出するよりも、少ない投資で利益を早く生むことが可能だ。シェール生産はまた、炭素排出が少なく、環境保護団体が「タールサンド」と揶揄(やゆ)するものに資金提供したがらない海外投資家の主な懸念にも対応できる。
「過去10年はオイルサンドに支配され、(シェール開発の)機会を逃していたかもしれない」と、エンカナのダグ・サトルズCEOは昨年11月、ブリティッシュ・コロンビア州で行われた会議でこのように発言。「こんにちの平均的な精製油1バレルよりもずっと二酸化炭素排出量が少ない」