最新記事

オリンピック

激怒する韓国選手も 北朝鮮と平昌五輪統一チーム結成に韓国世論は猛反発

2018年1月18日(木)09時07分

1月16日、韓国政府が、来月平昌(ピョンチャン)で開催する冬季五輪において朝鮮半島の南北融和をアピールしようと、北朝鮮選手との合同チーム結成を提案したことに対し、一部の韓国選手は「激怒」している。写真は、韓国・坡州市の非武装地帯(DMZ)近くのフェンスに結ばれた統一旗。15日撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)

韓国政府が、来月平昌(ピョンチャン)で開催する冬季五輪において朝鮮半島の南北融和をアピールしようと、北朝鮮選手との合同チーム結成を提案したことに対し、一部の韓国選手は「激怒」している。

平和演出を狙う韓国政府に対して、国民の関心が低いことが浮き彫りとなった。

国際的に孤立する北朝鮮が平昌五輪にどう参加するかを巡り、南北当局者による協議は今も継続している。しかし、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡って昨年来、国際的緊張が高まるなかで、南北関係の改善に向けて五輪を利用するという韓国政府のもくろみは、強い反発によって足元をすくわれる可能性がある。

北朝鮮選手との合同チーム結成が第1に検討されているのは、アイスホッケー女子チームで、韓国の都鍾煥(ト・ジョンファン)文化体育観光相は国際オリンピック委員会に(IOC)に対し、登録枠を23人から30人以上に増やすことを求めると述べている。

3週間の米国合宿を終えて12日帰国したばかりの韓国チームの選手らは大きなショックを受けた、と韓国アイスホッケー連盟の幹部は語る。

「選手たちは、ばかげたアイデアだと激怒している」と同幹部はロイターに語った。「政府が何の前触れもなくわれわれを選び、赤の他人と一緒に五輪でプレーしろと言うなど、まったく言葉も出ない」

インターネット上では、合同チーム結成案を撤回するよう韓国大統領府に求める署名活動が行われており、多くの署名が集まっている。

「オリンピックから政治的利益を得るため、政府が職権乱用しているとしか思えない」と署名参加者はコメント。「夢の舞台であるオリンピックに出場しようと努力を重ねてきた韓国選手からベンチ入り枠を奪うことはまったくフェアではない」

韓国のテレビ局SBSなどが11日発表した世論調査によると、70%超が合同チーム結成に反対と回答。一方、北朝鮮の五輪参加については80%以上が賛成と答えている。

文化体育観光省は、韓国チームの「不利益が最小限となるよう」、この件についてIOCと協議していると回答した。

「世論を考慮に入れた上で、最終的な決断を下す」と、同省のある高官はロイターに語った。統一省はコメントを控えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタンがアフガン空爆、子ども9人死亡 タリバン

ワールド

日米首脳が電話会談、日中関係の悪化後初めて 高市氏

ワールド

パレスチナ、過去最悪の経済崩壊 22年分の発展が帳

ワールド

中国の新規石炭火力許可、25年は4年ぶり低水準に 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中