最新記事
エアライン

赤ちゃんまで搭乗トラブル 改善されないカナダの「テロ警戒人物」リスト

2017年11月10日(金)18時00分
モーゲンスタン陽子

公安・非常時対応準備相のスポークスパーソン、スコット・ボールズレーは、現状のシステムは名前の一致だけを照合し、生年月日やパスポートナンバーなどの他の要素を考慮しないと、アルジャジーラにEメールで回答している。同省は昨年、誤認を除去する新システムの構築のために78億ドルの年関予算を要請したが、財務省に却下された。

移民大臣も賛同

グローブ・アンド・メールによると、6日のオタワ訪問でノー・フライ・リスト・キッズの一団は、カナダの著名人25人と、与野党問わず議会の過半数である176人の議員の署名を政府に提出した。うち17名は閣僚で、移民・難民・市民権大臣のアハメッド ・フッセンも名を連ねている。

フッセン大臣はまたウィリアム・モルノー財務大臣にあてた書簡を公開。「乗客保護プログラムは、カナダのノー・フライ・リスト上の個人の名前と一致するという理由で特定のカナダ人の子どもたちを空港でのセキュリティ問題の対象としてしまう結果となってしまった」と非難している。

別の議員もモルノー大臣にあて、子供だけでなくビジネスマンなどに対する悪影響も指摘。また、カディージャ・カジェーは議会の財政委員会の前で、彼女の現在8歳の息子は生後6ヶ月のときから不当な扱いを受け、最近のメキシコ家族旅行の際は帰国時に説明もなくパスポートを1時間も没収されたと証言。

さらに、自分自身が人生のほとんどをリスト上の人物として扱われてきた19 歳のユセフ・アーメッドは、ノー・フライ・リスト・キッズの一員としてさらに強く政府を糾弾、彼らにとって国外旅行がいかに危険であるかを訴えた。

「私の生まれた国、カナダの国内を移動するときの長い待ち時間や、私の感じる詮索や恥辱の念はそれだけで十分恐ろしい。でも、私が夜眠れないのはそのことが原因ではない」と言い、間違った情報が原因で外国政府に拘束され拷問されたカナダ人男性たちの名を挙げた。

財務省はシステム改善のための2018年度予算についてのコメントを拒否しているが、公安・非常時対応準備大臣ラルフ・グッデイルは政府が取り組み中であることを強調している。


Canada: Parents angry over kids on no-fly lists

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イランとイスラエル、再び相互に攻撃 テヘラン空港に

ワールド

焦点:トランプ減税法案、米重要鉱物企業を直撃 税控

ワールド

米海兵隊200人がロスで活動開始、初の拘束者 14

ビジネス

日鉄、米政府と国家安全保障協定を締結 USスチール
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    【動画あり】242人を乗せたエア・インディア機が離陸…
  • 5
    ゴミ、糞便、病原菌、死体、犯罪組織...米政権の「密…
  • 6
    メーガン妃がリリベット王女との「2ショット写真」を…
  • 7
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    先進国なのに「出生率2.84」の衝撃...イスラエルだけ…
  • 10
    世界一人口が増えているのはイスラム教徒――若さと出…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 3
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 6
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 7
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    救いがたいほど「時代錯誤」なロマンス映画...フロー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中