最新記事

トランプ政権

米特別検察官、トランプ陣営元選対幹部2人を起訴 元顧問も偽証認める

2017年10月31日(火)09時45分

10月30日、ロシアによる2016年の米大統領選干渉疑惑を捜査するモラー米連邦特別検察官事務所は、大陪審がトランプ陣営のポール・マナフォート元選挙対策本部長(68)ら2人を起訴したと発表した。写真は車で自宅を出る際、顔を隠すマナフォート氏(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

ロシアによる2016年の米大統領選干渉疑惑を捜査するモラー米連邦特別検察官事務所は30日、大陪審がトランプ陣営のポール・マナフォート元選挙対策本部長(68)ら2人を起訴したと発表した。罪状は米国に対する謀略やマネーロンダリング(資金洗浄)など12件という。

ロシア疑惑を巡る捜査で初の訴追となる。

これとは別に、トランプ陣営の顧問を務めたジョージ・パパドポロス氏が連邦捜査局(FBI)捜査官に対し虚偽の供述を行った罪を認めたことも明らかとなった。

特別検察官事務所が発表した声明によると、起訴されたのはマナフォート氏のほか、同氏のビジネスパートナーでトランプ陣営で同氏の代理人を務めたリック・ゲーツ氏。両氏とも27日に起訴され、30日に出頭した。

起訴状によると、マナフォート、ゲーツ両氏はウクライナの政治指導者や政党の工作員として働き、数千万ドルの報酬を受け取っていた。さらに2006年から少なくとも16年までに米・外国企業体を通じ、受け取った資金のマネーロンダリングを行っていたという。

両氏とも12件の罪状すべてで無罪を主張している。

起訴状はトランプ大統領および同氏の陣営については言及していない。罪状の多くはマナフォート氏のトランプ陣営での役割というよりも同氏とウクライナとの関係が焦点で、一部の罪状は10年以上遡る内容となっている。

ホワイトハウスのサンダース報道官は記者会見で、罪状はトランプ大統領、もしくはトランプ陣営とは無関係で、トランプ陣営が選挙中にロシアと結託していた証拠はないと述べた。

マナフォート氏は2016年6━8月にトランプ陣営の選対本部長を務めたが、ウクライナの新ロシア政党から不正な報酬を受け取っているとの報道が流れる中、辞任した。

これとは別に、トランプ陣営の顧問だったパパドポロス氏がFBI捜査官に偽証したことについて、今月初旬に罪を認めていたことが裁判所の文書から明らかになった。

モラー特別検察官事務所によると、パパドポロス氏は、昨年の選挙でトランプ氏の対抗馬だったクリントン民主党候補に不利になる情報を握っていると主張した人物との接触の時期について、虚偽の供述を行っていた。

トランプ大統領はこの日ツイッターで「ポール・マナフォートがトランプ陣営に参加する何年も前の話じゃないか。いかさまヒラリー(Crooked Hillary)と民主党はなぜ捜査の対象とならないのか」と苛立ちを示した。トランプ氏はこれまでもモラー特別検察官による捜査を「魔女狩り」と呼び批判してきている。

[ワシントン 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米CB景気先行指数、8月は予想上回る0.5%低下 

ワールド

イスラエル、レバノン南部のヒズボラ拠点を空爆

ワールド

米英首脳、両国間の投資拡大を歓迎 「特別な関係」の

ワールド

トランプ氏、パレスチナ国家承認巡り「英と見解相違」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の物体」にSNS大爆笑、「深海魚」説に「カニ」説も?
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、…
  • 6
    アジア作品に日本人はいない? 伊坂幸太郎原作『ブ…
  • 7
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    「ゾンビに襲われてるのかと...」荒野で車が立ち往生…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「何だこれは...」クルーズ船の客室に出現した「謎の…
  • 10
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 9
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中