最新記事

北朝鮮情勢

米朝舌戦の結末に対して、中国がカードを握ってしまった

2017年8月14日(月)08時10分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

北朝鮮に軍事報復を示唆するトランプ米大統領 Jonathan Ernst-REUTERS

もし北朝鮮が米国領を先制攻撃して米軍が報復した場合、中国は中立を保ち、米軍が先制攻撃すれば中朝軍事同盟を守ると表明。習近平は電話会談で「緊張を高めず、対話によって解決すべき」とトランプに強調した。

庶民:「トランプの言葉が、あの金正恩レベルに!」

中国の一般庶民の間では、北朝鮮の金正恩委員長は「まともではない」として、一般に「金三胖(ジンサンパン)」(三代にわたって世襲したデブ)と呼ばれている。

一方、トランプ大統領に対する評価も、思いつきで放ち続けるツイッターに対して、やはり「まともではない」という印象を抱いており、この手の写真などがあちこちで使われている。たとえば、これなどがある。

今まではアメリカには一目置いてきた中国大陸のネットユーザーだが、トランプ政権になって以来、大国としての貫録も威厳もないとして、相対的に中国国内における習近平国家主席に対する評価が高まる結果を、一部ではあるが招いている。

そこへ現れた今般の「トランプvs.金正恩」の舌戦。

中国語では「口水戦」(唾を飛ばしながら罵倒し合う戦い)という言葉が多く使われているが、鋭い論理性の高い舌戦ではなく、負けん気の強い幼稚園生が互いに「お前の母さん......!」といったレベルの罵詈雑言を発して、ついには取っ組み合いの喧嘩をするという類の光景として、この「舌戦」を茶化している。

イラストとしてはこのようなものもあるが、「本心は仲良くしたいんだろう?」という意味で、このようなイラストもある。

また中国大陸のネットには「中朝軍事同盟なんか破棄してしまえ!」「なんでわれわれの税金で金三胖を守らなければならないんだ!」といったコメントが飛び交う。

こういった庶民の心情も考慮したのか、秋に5年に一度の党大会を控えている中国は、北朝鮮に対して大胆な決断を表明した。

中国政府:北が先制攻撃なら中朝軍事同盟を無視

中国政府の基本的見解としては、あくまでも、これまで何度も書いてきたように「双暫停」だ。「双暫停」とは、繰り返しになるが「北朝鮮は核・ミサイル開発の挑戦をやめ、同時にアメリカは米韓合同軍事演習を暫定的に停止して話し合いのテーブルに着け」という「米朝方が定的に止せよ」の省略語である。中国は北朝鮮の核・ミサイル開発には絶対に反対だが、同時に韓国におけるTHAAD(サード)配備や米韓軍事演習にも絶対に反対だ。この基本方針は今年4月以降、ロシアと共有することになった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、ドンバス割譲が「安全の保証」の条件 ウクライナ

ワールド

ウクライナ東部ハルキウで旅客列車にドローン攻撃、西

ビジネス

CB消費者信頼感指数、1月は84.5に低下 14年

ビジネス

ボーイング、第4四半期は黒字転換 事業売却益や納入
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化はなぜ不可逆なのか
  • 3
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに...宇宙船で一体何が?
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 6
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 7
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 8
    「恐ろしい...」キリバスの孤島で「体が制御不能」に…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中