最新記事

エネルギー

世界の石油市場支配を固める中国 ライバルは戦々恐々

2017年8月9日(水)16時19分

中国石油天然ガス(ペトロチャイナ)は今年、南部の雲南省で26万bpdの能力をもつ製油所を稼働させる。一方、中国海洋石油(CNOOC)は広東省恵州にある製油所の能力を20万bpd拡大する見通し。双方とも2018年までフル稼働しないものの、これら新規拡大により、中国の精製能力は今年35万bpd増えることになる。

コンサルタント会社FGEとウッド・マッケンジーの推定では、中国からのガソリン輸出は今年、少なくとも前年比1万bpd増加する見通し。今年の海外ガソリン販売を23万5000─24万bpdに押し上げ、2018年は約33万bpdとなると予想している。

ユニペックは新たな海外市場開拓を主導しており、6月は数年ぶりにジェット燃料をシンガポールから欧州北西部に輸送した。一方、中国の対フランス軽油輸出は今年2倍以上に、イタリア向けは4倍以上になる見込み。また、ケニアに初めて軽油を輸出した。

高品質な燃料

中国企業の攻勢により最もあおりを受けるのは、シンガポールや韓国、台湾の石油製品を輸出する企業である。

「われわれは現在取引のある国々で顧客数を増やし、新規市場の多様化と開拓をはかっている」と、韓国のある精製企業関係筋は匿名で語った。

「市場にプレーヤーがもう1人増え、韓国企業に影響を及ぼしている」

日本とインドの石油精製企業は、比較的影響は受けないとみられる。

中国とインドは、アジア最大の石油消費国だった日本を上回っている。人口減や電力・輸送部門における代替燃料の使用増加により石油消費量が減少しているため、日本企業は精製能力を整理統合している。

一方、インド企業は急増する国内需要を満たすことに注力している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、新興AI半導体開発グロックを200億

ワールド

北朝鮮の金総書記、24日に長距離ミサイルの試射を監

ワールド

米、ベネズエラ石油「封鎖」に当面注力 地上攻撃の可

ワールド

英仏日など、イスラエル非難の共同声明 新規入植地計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中