最新記事

貿易

米韓FTA見直し協議物別れ、USTRは対話継続の意向表明

2017年8月23日(水)07時30分

8月22日、米韓政府は自由貿易協定(FTA)の見直しを巡る協議を行ったものの、議論の進め方で合意に至らないまま終了した。協議は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表(写真)、韓国産業通商資源省の通商交渉本部長の金鉉宗氏などが参加した。16日撮影(2017年 ロイター/Aaron P. Bernstein)

米韓政府は22日、自由貿易協定(FTA)の見直しを巡る協議を行ったものの、議論の進め方で合意に至らないまま終了した。

協議は米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、韓国産業通商資源省の通商交渉本部長の金鉉宗氏のほか、見直しに向けた合同委員会が参加してビデオ会議で1日の日程で実施。見直しに向けた次のステップで合意できないまま終了した。

金氏は協議後の記者会見で「FTAに関する双方の見解が異なり、合意には達しなかった」と説明。韓国側が協議で、米国の対韓貿易赤字は現行協定の結果ではないと主張し、現行協定の効果に関する合同調査を提案したことを明らかにした。

USTRの報道官は今回の協議で米韓は相互に提案を出し、この件に関する対話は継続されるとしている。

ライトハイザー氏は声明で米国の韓国に対する貿易赤字は昨年は276億ドルと、2012年に米韓自由貿易協定が発効して以来、倍以上の水準に拡大したと指摘。韓国政府が導入している米国の物品に対する非関税障壁が問題となっているとの認識を示した。

そのうえで「残念なことに米韓FTAから米国民は多くの恩恵を受けていない」とし、「見直し協議は、障壁を巡る問題の解消に向けたよい機会となる」との認識を示した。

金氏は米国の対韓貿易赤字が膨らんだのはFTAが原因だったわけではないと主張。FTAの影響を検証する合同調査の実施を提案した。また、FTAを破棄する可能性について米国側は言及しなかったとした上で、韓国の提案と協議の結果を米国が精査するのを待ちたいと述べた。

[ソウル 22日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米新規失業保険申請1.8万件増の24.1万件、予想

ビジネス

米財務長官、FRBに利下げ求める

ビジネス

アングル:日銀、柔軟な政策対応の局面 米関税の不確

ビジネス

米人員削減、4月は前月比62%減 新規採用は低迷=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中