最新記事

北朝鮮

タイを目指す北朝鮮「脱北者」急増 昨年の2倍のペース

2017年8月3日(木)19時05分

8月1日、北朝鮮による相次ぐミサイル発射実験で朝鮮半島の緊張が高まるなか、タイに不法入国する北朝鮮人の数が、この数カ月間で急増している。写真は、中国との国境を監視する北朝鮮軍の兵士。中国遼寧省で4月撮影(2017年 ロイター/Aly Song)

北朝鮮による相次ぐミサイル発射実験で朝鮮半島の緊張が高まるなか、タイに不法入国する北朝鮮人の数が、この数カ月間で急増している。タイの移民当局者が明らかにした。

タイは、脱北者に人気の通過ルートとなっている。毎年、数百人の北朝鮮人が中国に逃れてタイにたどり着き、そこから通常は韓国に送られる。

2016年は535人の北朝鮮人がタイに到着したが、今年は6月末までに385人が入国していることを、ロイターが確認したタイ移民当局のデータは示している。毎週、その数は増え続けている。

「タイ北部だけでも、平均20─30人の北朝鮮人がやって来ている」と、ある移民当局者は匿名でロイターに語った。

北朝鮮が中国との国境で管理を強化しているにもかかわらず、脱北者数は急増している。北朝鮮による相次ぐ核・ミサイル実験に対し、しびれを切らしつつある米国が警告を発するなど、朝鮮半島の緊張は高まっている。

だが、韓国の首都ソウルに拠点を置くNGO「北韓人権市民連合」によれば、韓国への脱北者数は今年増えておらず、タイ経由で来る脱北者の全体に占める割合が高まっている可能性があるという。

韓国統一省は、今年上半期に同国にやって来た脱北者の数は593人と明らかにした。一方、昨年は1418人、一昨年は1275人だった。

タイ移民当局によると、北朝鮮人の大半は、隣国ラオスを経て「ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)」付近の最北部からタイに入国するが、南から入る新たなルートも浮上しているという。

「この数年、多くの北朝鮮人がメコン川沿いの北東部からタイに流入している」と、メコン川を警備する司令官は語った。

別の高官もこうした傾向を確認した。同高官はロイターに対し、脱北者の一行はラオス国境沿いのタイ北東部の県であるノンカイやナコーンパノムから入国していると明らかにした。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

日鉄によるUSスチールの買収完了、米政府が黄金株保

ワールド

モディ首相、トランプ氏と電話会談 印パ停戦の米仲介

ワールド

ガザで140人死亡、住民絶望「私たちは忘れ去られよ

ビジネス

ECB利下げでも住宅ローン負担増、30年まで個人消
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 7
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 8
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中