最新記事

トランプ政権

イスラム圏からの入国制限一部執行、ビザ審査などで混乱の可能性

2017年6月27日(火)09時30分

6月26日、イスラム圏6カ国からの入国を制限する大統領令に関し、条件付きで一部の執行を認めた米最高裁の判断について、専門家らは曖昧な定義が現場で混乱を生じ、訴訟に発展する可能性があると指摘する。写真はNY市内で最高裁の判断に抗議する人々。(2017年 ロイター/Amr Alfiky)

イスラム圏6カ国からの入国を制限する大統領令に関し、条件付きで一部の執行を認めた米最高裁の判断について、専門家らは適用除外の曖昧な定義が海外のビザ審査の現場で混乱を生じ、入国を拒否された外国人による訴訟に発展する可能性があると指摘する。

最高裁は米国の「個人や団体と強い関係を持つ」人物に対し入国制限の適用を除外するとした。この「強い関係」について米国務省査証(ビザ)部門の元法律顧問、ジェフリー・ゴースキー氏は「わたしが知る限りこれは前例のないことだ」と指摘。

同氏は、この定義はビザ審査を行う米在外公館の当局者らを混乱させる公算が大きく、入国資格の定義について裁判所の新たな判断が必要になる可能性があると指摘する。

26日の判断で最高裁は、10月以降に同大統領令の合憲性を巡る審理の最終判断を下すことで合意。判事のうち、クラレンス・トーマス氏を含む3人は最終判断まで大統領令の完全な執行を認めるべきだと主張した。

入国制限の適用除外例としては、定住者の家族や国内の学校への入学が許可された学生、米企業での採用が決まった人などを挙げた。 一方、入国制限を回避するために築いた関係性は有効とは認められないとした。

これに関し、オバマ前米政権で米国市民権・移民局の主任顧問だったスティーブン・レゴムスキー氏は、強い関係なのに入国が認められなかったと主張する外国人が裁判を起こす可能性があると指摘。

また、一部の弁護士らは、「強い関係」の定義が曖昧であることから、米政権に恣意(しい)的解釈の余地を与えるとの見方を示した。

[ワシントン 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:高市新総裁、政治空白の解消急務 「ハネム

ワールド

自民新総裁に高市氏:識者はこうみる

ワールド

自民党総裁に高市氏、初の女性 「自民党の新しい時代

ワールド

女性初の新総裁として、党再生と政策遂行に手腕発揮を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、Appleはなぜ「未来の素材」の使用をやめたのか?
  • 4
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 5
    謎のドローン編隊がドイツの重要施設を偵察か──NATO…
  • 6
    「吐き気がする...」ニコラス・ケイジ主演、キリスト…
  • 7
    「テレビには映らない」大谷翔平――番記者だけが知る…
  • 8
    墓場に現れる「青い火の玉」正体が遂に判明...「鬼火…
  • 9
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 10
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 5
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 6
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 7
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中