最新記事

日本企業

WD、東芝の半導体事業売却差し止めを国際裁判所に申し立て

2017年5月15日(月)07時45分

5月15日、東芝再建策の柱であるNAND型フラッシュメモリー事業の売却をめぐり、同事業の合弁相手である米ウエスタン・デジタル(WD)は、国際的な調停機関に売却差し止めの仲裁を申し立てた。1月撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

東芝<6502.T>再建策の柱であるNAND型フラッシュメモリー事業の売却をめぐり、同事業の合弁相手である米ウエスタン・デジタル(WD)は、東芝による一方的な事業売却は合弁契約に反しているとして国際的な調停機関に売却差し止めの仲裁を申し立てた。

WDは東芝が今年4月に行った同事業の分社化の撤回も求めている。仲裁判断の内容によっては、同事業売却が難しくなり、東芝本体の再建計画が見直しを迫られる可能性もある。

WDが米サンノゼから現地時間の14日(日本時間15日朝)に発表した声明によると、同社は、自社の同意なしに東芝が同事業の持ち分を新会社である東芝メモリに移転したこと、さらに同社を売却することは合弁契約に違反していると主張。分社化による持ち分移転の撤回と売却の差し止めを命じるよう、国際商業会議所(ICC、本部パリ)の商事紛争処理機関である国際仲裁裁判所に仲裁を求めた。

両社間の対立点は、合弁契約にある「チェンジ・オブ・コントロール(支配権の変更)」条項の解釈だ。契約には、合弁相手の同意なしに事業の持ち分を第三者に売却できないが、買収などによって持ち分の所有者の支配権が変わる場合は同意は不要と明記されている。この条項が今回の事業売却に適用されるかどうかについて、両社の見解は異なっており、溝は埋まっていない。

東芝側は、今年4月、同事業における自社の持ち分50.1%を東芝メモリとして分社化し、同社の売却を検討している。合弁契約にある「支配権の変更」条項については、「事業の子会社自体が買収されれば支配権も移転するので、東芝がWDから同意を取り付ける必要はない」と説明。その理由として、同事業はかつて米サンディスクとの合弁事業であり、その持ち分をWDが買収した際、東芝側が同意を求められた経緯はなかったと指摘している。

これに対し、WDは東芝が合弁の持ち分を新設の子会社に移転し、その子会社を第三者に売却したとしても、合弁契約上の義務を回避することはできないと主張する。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ドイツ銀行、第3四半期の債券・為替事業はコンセンサ

ワールド

ベトナム、重要インフラ投資に警察の承認義務化へ

ワールド

台湾、過去最大の防衛展示会 米企業も多数参加

ワールド

アングル:日米為替声明、「高市トレード」で思惑 円
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中