最新記事

独裁

トルコ国民投票、大統領権限強化賛成が51.5% 都市部は反対多数

2017年4月17日(月)08時12分

4月16日、トルコで大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票が行われ、エルドアン大統領は賛成多数となったと「勝利宣言」した。写真は結果を喜ぶ同大統領の支持者ら。(2017年 ロイター/Murad Sezer)

トルコで大統領権限の強化を目指す憲法改正の是非を問う国民投票が16日に行われ、エルドアン大統領は賛成多数となったと「勝利宣言」した。これに対し野党などの反対派は、投票に不正行為があったと主張している。

クルド系住民が大半を占める南東部や、首都アンカラおよびイスタンブールなどの3都市では「反対」票の方が多かったもようだ。

エルドアン氏は、大統領権限の強化による議会制度の改革を2500万人が支持し、賛成票は51.5%に達したと述べた。同氏と与党の公正発展党(AKP)が求めていた決定的勝利には届かなかったものの、同氏の支持者ら数千人がアンカラとイスタンブールで旗を振って勝利を祝った。

エルドアン氏は「わが国の歴史で初めて、文民政治において国家統治制度が変わることになる」と述べ、「これが非常に重要であるのはそのためだ」と強調した。

一方、最大野党の共和人民党(CHP)のクルチダルオール党首は、国民投票の合法性に疑問の余地があると主張。賛成票を投じた有権者は法の範囲を逸脱したと批判した。高等選挙委員会(YSK)は投票に不正行為があったと判明しない限り、当局が認証印を押していない投票用紙もカウントすると発表しており、CHPは先に最大60%の再集計を求めていた。

クルチダルオール党首はエルドアン大統領が「ワンマン体制」を追求していると述べ、大統領が提案した改革はトルコを危険にさらすと警告した。

国民投票の結果を受け、アジア時間のトルコリラTRYTOM=D3は1ドル=3.65リラと、14日の3.72リラから上昇した。

ただ、トルコとの関係が一段と緊迫している欧州からは懸念の声が上がっている。

投票を巡る緊張がトルコ人社会に広がることを懸念したドイツやオランダなどは、賛成への投票を呼び掛ける集会を禁止した。エルドアン大統領はオランダを「ナチスの残党」、ドイツを「ファシスト的な行動」と批判。トルコは長年、EU加盟を目指しているが、EUとの関係を見直すとも示唆した。これに対し欧州議会のヒー・フェルホフスタット議員(ベルギー元首相)は「エルドアン氏があくまで言い張るなら、EUは加盟協議を中止する」と応戦した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科の社債権者、返済猶予延長承認し不履行回避 

ビジネス

ロシアの対中ガス輸出、今年は25%増 欧州市場の穴

ビジネス

ECB、必要なら再び行動の用意=スロバキア中銀総裁

ワールド

ロシア、ウクライナ全土掌握の野心否定 米情報機関の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中