最新記事

THAAD

中国の「用意周到な」THAAD報復 韓国政府、打つ手無し

2017年3月11日(土)08時52分

3月9日、韓国政府が中国の反対を押し切り、最新鋭ミサイル迎撃システム配備を認めたことで、韓国企業は中国で激しい圧力を受けているが、韓国政府には対抗する術がほとんどない。写真は、中国浙江省杭州の閉鎖された韓国ロッテマート。5日撮影。提供写真(2017年 ロイター/China Stringer Network)

韓国政府が中国の反対を押し切り、最新鋭ミサイル迎撃システム配備を認めたことで、韓国企業は中国で激しい圧力を受けている。だが、韓国企業が中国による差別的な対応の犠牲者だと訴える一方で、韓国政府には対抗する術がほとんどない。

韓国の対中輸出額は昨年1240億ドル(約14兆3100億円)に上り、対日輸出額の約5倍、また韓国にとって2番目に大きな市場である米国と比べても2倍の規模となっている。

しかし、ミサイル迎撃システム配備に抗議して、中国国営メディアが韓国製品のボイコットを訴えているため、今年の対中輸出は落ち込む可能性がある。同システムは北朝鮮からの攻撃を阻止するために導入されるが、中国はシステムのレーダーが自国の領土も監視可能だと主張している。

韓国のロッテグループはサイバー攻撃を受けたほか、中国で展開する一部店舗が罰金を受けたり、当局によって閉鎖に追い込まれたりしている。また、反韓デモに見舞われた店舗もある。

韓国の航空会社は中国と韓国間の定期便を増やすための認可が下りず、化粧品会社は税関審査が強化されたと報告している。また、中国は国内の旅行会社に韓国ツアーの販売を停止するよう指示している。

中国外務省は法律を順守する外国企業は歓迎され、保護されるとしている。だが、韓国政府は、中国による「不公正な報復」について世界貿易機関(WTO)への提訴を前向きに検討している、と同国与党は明らかにした。

2010年に尖閣諸島付近で発生した中国漁船衝突事件を受け、中国がレアアース(希土類)の輸出を規制したことを巡り、WTOは中国敗訴の判断を下したことがある。

しかしWTOが今回の中国による巧妙な報復措置を罰するのは、はるかに難しいだろうと現旧韓国政府当局者はロイターに語った。

限られた武器

中国における韓国企業の状況は、韓国政府が昨年7月に米軍の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に合意してから悪化している。事態は先週、THAADの配備先としてロッテグループが所有する土地を提供すると判明してから深刻化した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国万科、債権者が社債償還延期を拒否 デフォルトリ

ワールド

トランプ氏、経済政策が中間選挙勝利につながるか確信

ビジネス

雇用統計やCPIに注目、年末控えボラティリティー上

ワールド

米ブラウン大学で銃撃、2人死亡・9人負傷 容疑者逃
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中