最新記事

テクノロジー

ほぼ水なしで洗う究極のエコ洗濯機

2017年3月15日(水)10時50分
アンソニー・カスバートソン

magt170314-washer02.jpg

水は90%節約できる COURTESY XEROS

カリフォルニアの干ばつは6年目に入り、ヘーゲルのホテルではゼロスの洗濯機を3台使っている。節約できる水道・電気代は1台当たり月に約2200ドル。今年第1四半期までには、約1500万リットルの節水を達成する予定だ。この量は、オリンピック用プール6つ分に相当する。

ゼロスは洗濯機を販売する際、1台につき月1500ドルの維持管理費とビーズの回収・交換サービスの手数料を課している。そのため、一般家庭で使うにはコストが高過ぎるのが難点だ。

しかし同社は、家庭用洗濯機の開発にも取り組んでいる。もし成功すれば、カリフォルニアの水不足の緩和に大いに貢献するだろう。洗濯機が使う水は、一般家庭の水利用量全体の21.7%を占めているからだ。

【参考記事】渓流釣り&野営をミニマルに楽しむアウトドアギア

だがカリフォルニアの干ばつは、この新技術だけでは解決できないかもしれない。州内の洗濯機がすべてゼロス製になっても、特に水利用の80%を占める農業用水の課題は残る。

気候変動も問題だ。15年に発表されたコロンビア大学の気候科学者の研究で、人的要因による地球温暖化がカリフォルニア州の干ばつを15~20%悪化させたことが明らかになった。

ベンジャミンは、深刻な水不足の解決には長期的な視点が必要だと考えている。「もはや世界が水の使い方を見直すべき時が来た。水は飲食のためだけに使われるべきだ」

ただ、根本的な解決はまだ先。それまでは「魔法のビーズ」が問題を緩和してくれそうだ。

[2017年3月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中朝首脳が会談、戦略的な意思疎通を強化

ビジネス

デジタルユーロ、大規模な混乱に備え必要=チポローネ

ビジネス

スウェーデン、食品の付加価値税を半減へ 景気刺激へ

ワールド

アングル:中ロとの連帯示すインド、冷え込むトランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中