最新記事

アメリカ政治

トランプ米大統領が議会演説、移民制度改革や減税表明

2017年3月1日(水)17時33分

2月28日、トランプ米大統領は、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減や法人税減税を実施すると表明した。写真は演説する同大統領(中央)。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Jim Bourg)

トランプ米大統領は28日、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減や法人税減税を実施すると表明した。

演説では、税制改革を通じた景気浮揚や1兆ドル規模のインフラ投資、医療保険改革法(オバマケア)の見直しなど、国内の課題に重点的に取り組む考えを強調。移民制度改革については、不法移民への厳しい言葉を避け、選挙期間中や就任直後の姿勢に比べ落ち着いた演説内容となった。

税制改革では、法人向けの減税と中間層に向けた「大幅な」税負担軽減措置について政権で検討していると表明。ただ、詳細には踏み込まず、国境調整税にも言及しなかった。

移民制度に関しては、議会の共和・民主党が妥協すれば、幅広い改革が可能だと指摘。また、職業能力の低い移民に依存するのではなく、能力主義の制度へと見直すべきとの考えを示した。

包括的な移民制度改革は、議会内や国民でも意見の隔たりが大きく、過去2代の政権下では実現しなかった。トランプ氏は、改革によって賃金が上昇し、家計が苦しい家庭は中間層入りが可能になると主張し、「米国民の雇用・賃金の改善、安全保障の強化、法の尊重という目標を重視する限り、前向きな移民改革は可能だ」と述べた。

メキシコとの国境に壁を建設する方針もあらためて示したが、メキシコの費用負担には触れなかった。

法廷争いに発展したイスラム圏7カ国からの移民制限に代わる新たな大統領令を念頭に、「米国の安全を守る新たな措置を近く講じる」とも述べた。

外交政策については、北大西洋条約機構(NATO)への支持を約束したが、他の加盟国が自国防衛の費用負担を拡大すべきだと強調した。

また「利害が一致する場合、米国は新たなパートナー関係を築く用意がある」とした上で、「戦争や対立ではなく、調和と安定を望む」と述べた。直接的な言及は避けたものの、ロシアとの関係改善の意向を示唆した可能性がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 

ワールド

インドのロシア産石油輸入、減少は短期間にとどまる可
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中