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韓国セウォル号、沈没から1073日目で海上へ 引き揚げは最終段階

2017年3月24日(金)10時10分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部


潮の強さで有名な珍島沖


3年ぶりに引き揚げられるセウォル号 (c) KBS


なぜ3年もかかったのか?

巨大な船舶の引き揚げとはいえ、事故発生から引き揚げまで3年もかかった理由は何だったのか? 韓国メディア世界日報は、船体の引き揚げ自体の決定が遅れたことを一番の理由として挙げている。韓国政府は、沈没したセウォル号を丸ごと回収するか、切断して引き揚げるかなど、その手法も含めて1年以上の時間をかけて、2015年4月22日に丸ごと引き揚げという決定を下した。

また手法の選考もさることながら、6800tという巨大な船舶を引き揚げるための費用が莫大になるということも影響した。一部の政治家は1000億ウォンを超えると予想される費用を理由に引き揚げ自体に反対していた。最終的には引き揚げ決定の4か月後の2015年8月、中国交通運輸省傘下のサルベージ企業である上海サルベージと916億ウォンで契約を交わし、引き揚げ作業全体では1019億ウォンの予算が組まれた。

引き揚げ業者が上海サルベージに決まってからも、船に残っている油を除去したうえ浮力材を取り付ける作業や、引き揚げのための施設の設置が予定よりも5か月も時間がかかるなど、スケジュールの遅れが続き、最終的な引き揚げ方法を今回のはしけ2台で引き揚げる「タンデムリフティング」に決めるまでにも時間がかかっている。

さらに、沈没した海域の天候と潮流も引き上げを阻む大きな難題だった。全羅南道珍島沖は、普段から潮の流れが早く、強いことで有名だ。波が穏やかな小潮期が3日連続で続く時期などを考慮し、引き揚げの時期をこれまで持ち越されざるを得なかったというのが、政府の説明だ。実際、今回の引き揚げ作業は、KIOST(韓国海洋科学技術院)のほか、オーストラリアの気象専門業者OWS、フランスの海洋気象専門業者MatthewsDanielなどの情報をもとに、22日から作業開始することを決定している。

だが、政府と国会がより積極的に引き揚げ作業に取り組めば、パク前大統領とその友人チェ・スンシル容疑者による一連の疑惑で国政が停滞する前に、セウォル号を引き揚げることも可能だったのではないか? という声が韓国国内ではあがっているという。

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