最新記事

ロシア大統領選

ロシアの野党指導者ナワリヌイ、大統領選立候補困難に

2017年2月9日(木)18時58分
エミリー・タムキン

ナワリヌイ夫妻(中央)と支持者たち(2013年、モスクワ駅) Grigory Dukor-REUTERS

来年のロシア大統領選に出馬を表明しているアレクセイ・ナワリヌイは8日、横領罪に問われた事件の再審で、執行猶予付き禁固5年の有罪判決を受けた。ナワリヌイはそれでも大統領選に出ると言っている。

【参考記事】プーチンの政敵はやっぱり刑務所暮らし

ロシアの有力な野党指導者で弁護士のナワリヌイが、横領罪で初めて有罪判決を受けたのは2013年。彼がモスクワ市長選に出馬した後だったため、ロシア政府が汚名裁判をでっちあげたという見方が広がった。ナワリヌイは2015年まで自宅軟禁の処分を受けた。

【参考記事】カスパロフ「プーチンはISISより危険だ」

ナワリヌイが判決を不服として提訴した欧州人権裁判所(ECHR)は昨年、2013年の裁判が公正ではなかったとして判決を無効とし、6万7000ドルの賠償金をナワリヌイに支払うようロシア政府に命じた。

前回と同じ判決文?

だが、ロシアの最高裁判所が再審を決定。12月初旬に始まった今回の裁判で読み上げられた罪状は前回とまったく同じ。ナワリヌイと弁護士は、判決文は2013年のものと「コンマ」まで同じだったと語った。

【参考記事】大統領選でプーチンに挑む大富豪の本気度

ロシアでは、有罪判決を受けた被告は大統領選に立候補できないため、ナワリヌイも出馬は不可能とみられる。だが彼は選挙活動を続ける決意だ。ツイッターに「ロシア政府が指示した今回の判決にとらわれず、今後もより良いロシアを目指して闘う」と投稿。さらにこう続けた。「プーチンと子分たちは、選挙で我々と対決するのが怖いんだ。対決すれば我々が勝つからだ」

【参考記事】「ロシア元スパイの暗殺はプーチン大統領が承認」英国調査委員会が断定

ナワリヌイの頼りは、国民が公職に立候補する権利を保障したロシア憲法の32条。だが辛うじて立候補できても、ナワリヌイが当選する確率はほとんどない。それでも彼は、ロシア人の心に何かを目覚めさせようとしているようだ。それが彼にとっての「政治的な勝利」だとでもいうように。

From Foreign Policy Magazine

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

台湾、25年GDP予測を上方修正 ハイテク輸出好調

ワールド

香港GDP、第2四半期は前年比+3.1% 通年予測

ワールド

インドネシア大統領、26年予算提出 3年以内の財政

ワールド

米政権、年間の難民受け入れ上限4万人に 南アの白人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化してしまった女性「衝撃の写真」にSNS爆笑「伝説級の事故」
  • 4
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 5
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 6
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 7
    【クイズ】アメリカで最も「盗まれた車種」が判明...…
  • 8
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 9
    「デカすぎる」「手のひらの半分以上...」新居で妊婦…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 3
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 4
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 5
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 6
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 9
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中