最新記事

自動車

トランプに標的にされたトヨタ、今後5年で対米投資100億ドルと発表

2017年1月10日(火)11時09分

1月9日、トヨタ自動車のジム・レンツ専務役員は、今後5年の米国での設備投資額は100億ドルになるとの見通しを示した。写真はトヨタ自動車の豊田章男社長(2015年 ロイター/Thomas Peter)

 トヨタ自動車<7203.T>のジム・レンツ専務役員は9日、今後5年間の米国での設備投資額は100億ドルで、過去5年間の投資額と同額になるとの見通しを示した。北米国際自動車ショーでのインタビューで述べた。

 同社は2015年、カローラの生産をカナダからメキシコに移転すると発表しているが、トランプ次期米大統領は同計画を批判している。

 レンツ氏は、決定はトランプ氏の批判に応じるものではなく、トヨタの米国における投資戦略の一環だと説明した。またメキシコ工場をめぐる計画は2013年ごろ始動しており、長期的なものだとした。トランプ氏とは話をしていないとも明らかにした。

 100億ドルの投資には、現在テキサス州に建設中の新たな北米拠点や工場の大幅改築などが含まれるとした。トヨタは今後5年間で米国内の一部工場の拡充も予定しているが、雇用創出につながるかについてレンツ氏は明言しなかった。トヨタの米国での雇用者数は現在4万人だが、過去5年間で5千人以上、雇用が増えたという。

 トランプ氏が目指す製造業と雇用の拡大は自動車販売の増加にもつながるもので賛同するが、トヨタは国際企業として競争力をつける必要もあると述べた。

 トヨタの米国業務が広範であることを政策当局に理解してもらえるよう努力しているとした上で、インディアナ州知事を務めたペンス次期副大統領は、同州での業務を通じてトヨタという会社を熟知しているとした。

 豊田章男社長はこの日、投資計画について明らかにするとともに、ケンタッキー工場で生産される新型「カムリ」をアピールした。

 だがレンツ氏は、トランプ氏が提唱する国境税が導入されれば、自動車価格は値上がりし、雇用が損なわれかねないと指摘。「カムリ」も一部の部品が外国で製造されているため、課税されれば一台当たりのコストは1000ドル上昇する可能性があると述べた。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米ミネソタで州議員が銃撃受け死亡、容疑者逃走中 知

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

再送-米ロ首脳、イスラエル・イラン情勢で電話会談 

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中