最新記事

中国

中国、汚職撲滅のため海外不正資産の回収図るも人権問題が壁に

2016年9月21日(水)19時52分

9月20日、中国政府は汚職取り締まりの一環で、中国で汚職に関与し、国外に逃亡した当局者の不正に取得した資産を回収する取り組みを海外で強化する。写真は香港・尖沙咀にある美術館に展示されている故・毛沢東首席と天安門事件の首謀格学生のポートレイト。2014年4月撮影(2016年 ロイター/Tyrone Siu)

中国政府は汚職取り締まりの一環で、中国で汚職に関与し、国外に逃亡した当局者の不正に取得した資産を回収する取り組みを海外で強化する。21日付の中国国営紙チャイナ・デーリーが公安当局高官の話として伝えた。

 中国共産党中央規律検査委員会の高官らは先に、汚職が疑われる人物や彼らが不正取得した資産について海外で捜査を進める難しさを指摘していた。

 中国は習近平国家主席の主導でここ4年近く、汚職に関与した当局者の追跡で各国との協力体制を強化している。

 ただ、一部には、容疑者が不当に扱われていると人権団体が指摘する中国への対象者の送還を拒んだり、中国が対象者の犯罪を証明する証拠の提出に消極的だとして、捜査に非協力的な国もある。

 チャイナ・デーリーは公安当局高官の話として、海外での容疑者捜索でこれまでの優先事項は証拠の収集だったが、中国で不正に取得した資産の回収が今後数カ月の新たな反汚職対策の取り組みになると伝えた。

 また、この高官は、警察が中国人民銀行と協力し、マネーロンダリングあるいは地下銀行を通じて多額の不正資金を海外口座に送金した当局者の取り締まりを進めると明らかにした。

 国営メディアによると、米国、オーストラリア、カナダは中国の経済犯が逃亡先に選ぶことが多いが、これらの国と中国は容疑者の身柄引き渡し協定を結んでいない。

[北京 21日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23

ワールド

トランプ氏の核施設破壊発言、「レッドライン越え」=

ビジネス

NY外為市場=ドルまちまち、対円では24年12月以
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中