最新記事

エンターテインメント

任天堂がビジネスモデル転換、マリオでミッキーの後を追う

2016年8月2日(火)18時43分

 玩具メーカー、タカラトミー<7867.T>の広報担当者は、ポケモンGO配信後、ポケモン関連のおもちゃに再び関心が高まっていると指摘する。

 主に円高を背景として4─6月期に連結営業損失を計上した任天堂は、「ゼルダの伝説」を含む人気シリーズのキャラクターライセンス化を拡大する戦略を打ち出すとみられる。

 玩具メーカーのある社員は、任天堂のライセンス事業担当者はごく少数で、限られた企業としか取引していなかったが、IPビジネス拡大を打ち出してから、それは変わりつつあると語る。

 任天堂の代表取締役でスーパーマリオの生みの親である宮本茂氏は、同社のキャラクターをゲーム機以外に広げ、収益を創出するライセンス契約の対象とする意欲が高まっていると指摘している。

 宮本氏は6月末に行われた定時株主総会で、「結果が出るには時間がかかるが、ご期待いただければと思う」と述べ、ユニバーサル・パークス・アンド・リゾーツと基本合意し、テーマパーク事業に任天堂のキャラクターを提供することも始めていることを明かした。

落ち込む「Wii」

 据え置き型ゲーム機「Wii」のブームが4年前に陰りを見せ、その後継機「Wii U」販売も低迷するなか、任天堂は赤字に苦しみ、同社の手元資金は約50億ドルまで半分以上減った。

 「Wii」は2006年後半の発売開始から「Wii U」が発売される前年の2011年末までに約1億台売れた。続く「Wii U」はわずか1300万台売れたにすぎない。ゲームの場がリビングルームからスマホへと移ると、任天堂の携帯型ゲーム機「3DS」の売り上げは従来機の3分の1にとどまった。

 不調なゲーム機ビジネスに集中できなくなることを警戒した任天堂はこれまで、他のプラットフォーム向けゲーム製造や、もうかるライセンス事業などを遠ざけていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、6月以降の数回利下げ予想は妥当=エストニア

ワールド

男が焼身自殺か、トランプ氏公判のNY裁判所前

ワールド

IMF委、共同声明出せず 中東・ウクライナ巡り見解

ワールド

イスラエルがイランに攻撃か、規模限定的 イランは報
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負ける」と中国政府の公式見解に反する驚きの論考を英誌に寄稿

  • 4

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 5

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 6

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 7

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 8

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 10

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中