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日本軍と共謀した毛沢東を、中国人はどう受け止めたか?

2016年6月23日(木)16時35分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 たしかにかつての日本は間違っていたので、それはその通りであろうが、日本人はアメリカを崇拝しアメリカ人を崇めるところまで「意識改革」を強要された。その結果、中共の宣伝部である中宣部が書いた「抗日戦争史」を鵜呑みにする精神性まで(一部ではあるが)培われたのだろう。

 贖罪意識を持つことは悪いことではないだろうが、しかし、それにより「真実を見る目」まで曇らせているのは、正しい選択ではない。

「言論の自由」に対するアンケート

 VOAのページのやや左下側にある「問券」(アンケートの簡体字)という箇所を見てほしい。

 そこに「中国の網信弁(国家インターネット信息弁公室の略称)がネットのコメントを厳しく取り締まるという命令を出したが、あなたは賛成しますか?」という質問がある。

 回答は以下の3つから選ぶようになっている。

○はい(賛成します)。規則がなければネット論壇は成立せず、悪いコメントは許さない。

○いいえ(賛成しません)。コメントに対するコントロールが強すぎる。言論の自由を!

○ネットの節度は支持する。しかし政治的異論は許すべきだ。

 この結果を見たい方は、その下にある「査看結果」(の簡体字)をクリックしてみて頂きたい。

 この結果は時々刻々変わっているが、2番目の「いいえ」が最も多く、「80%~93%」の間を動き、1番目の「はい」は「0%」だ。

 この結果は、五毛党がフル活動すれば変わってくるだろうが、しかし中国大陸においても、五毛党の要素を除けば同じだろうと推測される。

 筆者の本(『毛沢東 日本軍と共謀した男』)に関して、中国大陸のネット空間ではほぼ削除されているが、しかし今もなお一つだけ残っているのがある。本コラムの読者の方がクリックなさった時には、もう消えているかもしれないが、試しにクリックしてみていただきたい。

 実は昨日まではVOAの生放送とそれを文字化した頁が、一枚だけ中国大陸のネットにも転載されていた。しかし今朝はもう消えている。

 習近平政権になってから、ネットへの言論統制は驚くほど強化され、「アッという間に」削除される。この「アッという間に削除する」ことを中国語で「秒削」と称する(削除の「削」は中国語の簡体字を使っている)。

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