最新記事

インド

モディ、オバマと7度目の首脳会談に向け訪米、それでも消えぬ警戒感

2016年6月5日(日)20時45分

6月3日、インドのモディ首相は来週7─8日、オバマ米大統領の最も親密な外国首脳の1人としてワシントンを訪問する。2年前に米国入国のビザ(査証)が下りるかどうか危ぶまれたのとは対照的だ。オバマ大統領(左)とモディ首相。ニューデリーで2015年1月撮影(2016年 ロイター/Jim Bourg/File Photo)

 インドのモディ首相は来週7─8日、オバマ米大統領の最も親密な外国首脳の1人としてワシントンを訪問する。2年前に米国入国のビザ(査証)が下りるかどうか危ぶまれたのとは対照的だ。

 オバマ大統領の来年1月の任期終了前に訪米するよう要請された。モディ氏は上下両院の議員を前に演説が予定されており、これは異例の栄誉とみられている。

 モディ首相が2014年5月に就任して以来、首脳会談は7度目となる。カーネギー国際平和財団のインド専門家であるアシュリー・テリス氏は、米大統領と正式な同盟国以外の首脳の間でこの頻度は印象深いとし、両首脳の「個人的な関係は、過去2年間に起きた予期せぬサプライズの1つだ」と述べた。

 両国関係の進展はオバマ政権の外交政策の成果と目されている。インドは、アジア重視を掲げる同政権のリバランス政策の重要な柱であり、中国への有力な対抗勢力となり得るからだ。

まだ遠い戦略的パートナーシップ

 米印は軍事面でより緊密な協力が可能となり、米防衛企業によるインドでのハイテク兵器の販売・製造を容認する協定について最終合意する見通し。軍事演習の費用をどう分担するかや、暗号化された通信やデータ移転に関する問題なども議論の焦点になるとみられる。

 しかし、植民地支配やそれに続く非同盟政策の歴史を持つインドは、ロシアを抜いて最大の武器供給国となり、力関係で優位に立つ米国に取り込まれることを警戒している。

 防衛ポータルサイトを運営するNitin Gokhale氏は「これは戦略的パートナーシップでも同盟でもない」と指摘。「長期的な協定になる可能性はあるが、戦略的パートナーシップと呼ぶのはまだ早計だ」と話す。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

高市首相「首脳外交の基礎固めになった」、外交日程終

ワールド

アングル:米政界の私的チャット流出、トランプ氏の言

ワールド

再送-カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブル

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 10
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中