最新記事

金融政策

フィンテック、日本の金融界は銀行法改正で出遅れを取り戻せるか

ビジネスチャンスに期待する一方で、既存のビジネスモデルが破壊される危険も

2016年4月2日(土)19時26分

4月1日、規制緩和や法整備が、ITと金融を融合したサービス「フィンテック」の成長を育み、日本の金融のあり方を変える可能性がある、との期待が高まっている。写真は都内の銀行の看板、2009年8月撮影(2016年 ロイター

 規制緩和や法整備が、ITと金融を融合したサービス「フィンテック」の成長を育み、日本の金融のあり方を変える可能性がある、との期待が高まっている。

 政府は今国会に提出した銀行法改正案の成立を目指しており、関連するベンチャー投資なども拡大が予想される。官民の未知の世界への挑戦はまだ始まったばかりだ。

 厳しい規制、リスク回避の傾向の強い国民性──これらが日本におけるフィンテック発展の足かせになってきたとされる。

 しかし、そんな日本をよそに、海外を見渡すとその違いは明らかだ。

 たとえば、フィンテック関連のスタートアップ企業は昨年、中国で27億ドルの資金を調達した(CBインサイト・データ調べ)。インド、米国ではそれぞれ、15億ドル、74億ドルだった。

 日本はどうか──。2015年1─9月期、わずか4400万ドルにとどまった。

焦る当局

 国外でフィンテックをめぐる資金が桁違いで動く一方、新たな経済活動や技術の潮流から離された日本だが、政府は銀行法改正案の今国会成立を目指している。早ければ、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)までの成立が目標だ。

 金融機関が、ベンチャーを含む事業会社に出資する際は、銀行が5%、銀行持ち株会社が15%までに比率が制限されている。しかし、これを緩和し、新たな技術の開発・採用に柔軟に取り組める基盤を整える。

 金融庁の担当者は「今回の法律はゴールではなく、はじめの一歩(ファーストステップ)」と期待する。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中