最新記事

中朝関係

朝韓間の経済交流即時無効を北朝鮮が――中国新華社が速報

2016年3月11日(金)15時52分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

韓国の報道官の発言を続報で伝える新華社

 3月10日、13:59になると、また新華社からの速報が飛びこみ、今度は韓国メディアの情報が伝えられた。それは午前の北朝鮮メディアの速報を補う以下のような内容だった。

――北朝鮮の祖国平和統一委員会のスポークスマンは「ただいま即刻、北朝鮮と韓国間のすべての経済協力交流プロジェクトが無効になる」と発表した。さらにスポークスマンは「韓国が一方的に金剛山観光プロジェクトと開城工業園区運転を全面的に廃止するという決定を一方的に行なったので、(北)朝鮮は徹底的に朝鮮領内における全ての韓国側の財産を一掃することにした。朴槿惠政権に対して、政治・軍事・経済などあらゆる方面において致命的な打撃を与え、韓国が悲惨な末日を一刻も早く迎えるために、(北)朝鮮は引き続きあらゆる措置を取り続ける。(北)朝鮮は、韓国に対して先制攻撃をするための最終司令を待っているだけだ。

 この内容は「中華網・軍事」など、多くのウェブサイトが転載している。

中国外交部、韓国を牽制するシグナルも

 中国の外交部の洪磊(こうらい)報道官は、3月9日の記者会見で「韓国は対北朝鮮独自制裁で中国の正当な利益を損ねるべきではない」と回答したと、新華社が伝えた。

 洪磊報道官は「独自制裁は問題を解決する方法ではない。また独自制裁は中国の正当な利益を損なうべきではない。朝鮮半島が複雑でデリケートな形勢にある中、関係各方面は、慎重に冷静に対応すべきで、局面の緊張を高めるような行動を採るべきではない」と述べたとのこと。この発言から、洪磊報道官が言うところの独自制裁は、米韓合同軍事演習のことを指しているものと考えられる。

 以下に記者会見における記者の質問と、洪磊報道官の回答を略記する。

記者:報道によれば、一艘の北朝鮮から来た貨物船が、山東省の日照港で進入を禁止されているとのことですが、中国は国連安保理における対北朝鮮決議を執行しようとしているのですか?

洪磊:私は具体的な状況に関しては了解していません。但し、中国はまさに、国連2270号決議を、全面的かつ厳格に執行しています。安保理第2270号決議は、ただ単に北朝鮮への制裁を含むだけでなく、6カ国会談という対話による問題解決の道を再び模索し朝鮮半島の平和と安定を図るという内容を含んでいます。関係各方面は、バランスを以てこの決議を執行するように望みます。(中略)中国の合理的で正当な安全戦略と利益は不当に損なわれてはなりません。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中