最新記事

メディア

政権批判を展開していたトルコの有力紙、政府管理下に置かれ一転大統領寄りに

抗議する市民らが新聞社に押し寄せ、警察の強制排除が行われるも紙面では触れられず

2016年3月7日(月)19時00分

トルコ政府に批判的だった有力紙ザマンが5日、政府管理下に置かれたが、翌6日の同紙記事は、一転してエルドアン大統領におもねる論調となった。写真は新聞社前で警備用バリアを設置する警官(2016年 ロイター/Osman Orsal)

 トルコ政府に批判的だった有力紙ザマンが5日、政府管理下に置かれたが、翌6日の同紙記事は、一転してエルドアン大統領におもねる論調となった。

 裁判所が同紙を政府管理下におくよう求めた検察の訴えを承認したことから、4日夜に警察が立ち入り、同紙を制圧した。

 同紙は、大統領と対立する米国在住のイスラム教指導者ギュレン氏の影響下にあり、検察は、同紙の資金がギュレン氏に回されていなかったかを捜査しているという。

 政府管理下で初の紙面となった6日の紙面では、エルドアン大統領が計画している「世界女性デー」の話題や、ボスフォラス海峡に建設中の架橋視察などが報じられた。

 4日と5日には、ギュレン氏の支持者らが政府による管理に抗議して同紙のオフィス周辺に集まり、警察が催涙ガスや放水を使用する事態となったが、この出来事については報道されなかった。

 トルコは欧州連合(EU)加盟交渉中で、人権団体やEU当局者は、今回の措置は報道の自由に抵触すると批判している。

 エルドアン大統領とダウトオール首相は、ギュレン氏が2013年に政権転覆を企てたとしている。

 ザマン紙の編集員らは、大統領が首相だった2003─14年は支持の立場を取っていたが、大統領就任後、外交政策や、政府がギュレン氏の支持者経営の学校の閉鎖計画を打ち出したことから対立関係となった。

 

[北京 25日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取

ビジネス

12月FOMCでの利下げ見送り観測高まる、モルガン

ワールド

トランプ氏、チェイニー元副大統領の追悼式に招待され

ビジネス

クックFRB理事、資産価格急落リスクを指摘 連鎖悪
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中